小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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ロンドンのテロ5 通勤客がロンドンへ、30人の被疑者?


11日付け「インディペンデント」紙の情報

 ウエブ上で見る限り、日本の新聞がロンドンの先週のテロのニュースをかなり細かく追っているようだ。人事とは思えない、という部分があるのかどうか?

 個人的には、イラクで昨日、自爆テロで20人以上が亡くなり、今日も少なくとも9人のイラク兵が亡くなった、という報道にも衝撃を受けている。現在のところ、ロンドンのテロでは49人が亡くなり、700人以上が重軽傷を追ったのだが、イラクでは毎日のように二ケタ台の人が殺されたり、負傷したりしている、ということが、頭の片隅にある。

 11日付「インディペンデント」紙は、ロンドンのテロを生き延び、月曜日から通常通り通勤する、という数人の顔写真を一面に載せている。
 
他に、いくつかの情報を拾ってみると:

 地下鉄はほとんど平常に戻ったが、一部動いてない線もある。バスは通常通り。爆破事件後閉鎖していた学校も授業を始めた。自転車を買う人が増えているという。バスや電車では他人に自分の命を預けているようなもの。自分で自分の人生を管理したい、ということだそうだ。影響を受けた通勤客にはカウンセリングサービスも始まるという。

 週末、英中部の都市でイスラム系市民が多く住むバーミンガムでテロが起きる可能性があって、2万人が避難する、という事態があった。実際は何も起きなかったのだが、テロを思わせる情報が警察側にあったという。

 気になる犯人・犯行グループのめどだが、既に、アル・カイーダに関連した30人の被疑者を警察が割り出した、という。この30人の中には、既に日本でも報道された、昨年のマドリードでの列車爆破事件の首謀者といわれるムスタファ・ナサル氏(47)。シリア出身でスペイン国籍を持ち、マドリードの事件後に英国に潜入した可能性がある。もう1人はモロッコ人のムハンマド・アル・ゲルボウイジー氏で、カサブランカとマドリードのテロ事件に関与していたと見られている。英国籍でロンドン在住と見られている。

 犯人たちが外国から来たテロリストなのか、英国で生まれ育った人間によるものなのか、警察当局は正式には「まだ分からない」としている。ところが、前ロンドン警視庁のトップだったスティーブン卿によると、犯人たちは「英国の生活や価値観を完全に知っている者」だとしている。

 「イスラム教過激派になりたがっているような人が英国にはたくさんいる。爆撃犯は普通の英国市民で、保守的な若い男性、清潔な衣服に身を包み、恐らく高い教育を受けている。コンピューターに長けていて、爆発物などの情報をインターネットから学習している」。「ここ数年の間に、ウサマ・ビン・ラーディンのトレーニングキャンプを訪れた英国生まれあるいは英国にベースを置く人々は3000人ほどいる。もちろん、全員がテロリストになったわけではないが」としている。

 クラーク内務大臣は、まだ犯人が見つかっていないので、またテロが起きる可能性がある、としている。

 キングスクロス駅近くで起きた爆破事件の地下鉄の車両の中にいる、遺体の確認に時間がかかっているが、作業終了には少なくともあと数日はかかる予定。警察官らの話では、地下トンネルの中が高温であるためとすすなどがたくさんあって、作業を進めることが困難だからだ。それぞれの警察官は2時間交代のシフト制で働いているという。ねずみがいたり、アスベストスに汚染される危険もあるという。

 最後に、アルフィー・デンネンという、ロンドンのウエブ・デザイナーがサイトを立ち上げ、テロに負けないということを、みんなで示そうと呼びかけているそうだ。アドレスはwww.werenotafraid.com

(以上、情報源は全て「インディペンデント」より)
 
 
by polimediauk | 2005-07-11 18:20 | 政治とメディア