ロンドンのテロ7 英内務大臣の見方
過激派的行動を絶つ努力
英国で生まれ育った4人が7日のロンドンの爆破テロを犯行を起こしたとすると、これからも同様のテロを計画している人はいるのではないか?、4人だけで計画を実行に起こせるわけがないから、首謀者が裏にいたのではないか?さらに、4人が住んでいたコミュニティーの中のショックと動揺をどう解消するのか?――これが、若い4人の男性が実行犯だったらしいという情報が出た後の英国の関心ごとだ。
13日の朝のラジオの番組「TODAY」によると、例えば、4人だけで犯行を起こしたとは考えにくいのは、、たとえテロをする意志があっても、プラスティック爆弾を入手し、実際に行動に移すには、かなりの知識と経験が必要だと見ているからだという。外国のテロ組織からのヘルプがあったのでは?という説もある。(確証はない。)
チャールズ・クラーク内務大臣がインタビューされている。
―4人の若い男性たちが爆破テロの実行犯だったらしい、という情報をどう受け止めたか。
クラーク:驚き、ショックだった。イスラム教徒のコミュニティーのリーダーたちとの話し合いを続けていたが、他の全員がショックだったと言っていた。
まず、2つのことを考えた。4人は警察や諜報情報機関の記録では、レーダーにひっかかっていなかった。何故なのか?諜報能力を高めないといけない。今日、欧州の情報機関・テロリズム機関の代表らと会議をする予定だ。
もう1つは、あるイデオロギーが、個人に過激な行為をさせる、その仕組みをもっと解明したいと思った。
―普通の若者がこのような行為を働いたことに関してはどう思うか?
クラーク:ある意味では、よくあることだ。2001・9・11の米国大規模テロでも、実行犯は比較的良い家庭、良い教育を受けた若者たちだった。貧困が過激派を作り出しているのではない。
これを防ぐには、1つには諜報情報の精度を高めることと、該当する例えばイスラム系のコミュニティーが、こうした行為にもっと毅然とした反対の声をあげることだ。若者の心に過激な行為を説く説教師に注意している。原理主義に対し、イスラム教のコミュニティーのリーダーたちが、強い非難の声をあげることだ。
―しかし、これまでもそうしてきたのではないか?
クラーク:確かにそうだ。7日のテロの直後も、それだからこそ、イスラム系コミュニティーのリーダーたちがテロを強く非難した。民主主義の私たちの社会の基本を脅かす原理主義に対して、厳しくあたらないといけないと思う。
―例えば、国務大臣として、危険な人々を国外退去させる、ということも考えているのか?
クラーク:それも考えている。社会の基本的原理を脅かす人はここにいるべきではない。しかし、一方では表現の自由などを守ることもしなければならないから、バランスを守るのが難しい。
―国外退去、という手段は、英国籍の人には使えない。
クラーク:その通りだが、例えば表現の自由は保障されないといけないが、それでも、人に過激行動を起こさせるような表現は許されないと思う。
―どうやって普通の若者たちが過激派になってゆくのか?例えば元ロンドン警視庁のトップだったスティーブンス卿は、約3000人の英国の若者が、アフガニスタンなどにあるウサマ・ビンラーディンの軍事トレーニングキャンプに出かけたといっているが。
クラーク:数は確認できない。また軍事トレーニングを受けたかどうかもはっきりいえない。しかし、たくさん出かけているのは確かだ。ただ、その中でも過激行動に走るのは、ほんの一握りだ。先の4人の男性たちも、ほんの一握りの、ほんの一部だ。誰かが裏で彼らを動かしているのだろう。まだこの4人が爆破テロの犯人だったと断定はできないが。
―4人の後ろにはテロ組織が存在していると思うか?
クラーク:たった一つのテロ組織かどうかは分からない。アル・カイーダも変わっており、世界に様々な形で発生している。4人がどの特定の組織と関係があったのかは、まだ判明していない。
―この4人のほかにも、新たにテロを起こす英国籍の人がいると思うか?
クラーク:他にもいるかもしれない、という前提で、人は自分を守らなければならないと思う。
―欧州のテロ調査関係者との会議では何を話すのか?
クラーク:連携をさらに高めたい。情報をさらに共有したい。通信情報にもっとアクセスできるように。また、爆発物を調査し、その識別を精査したい。
最後に、私たちの社会の民主主義、自由経済、表現の自由、多文化を「まちがっているもの」とする人々がいる、ということ。これを破壊したいと思っている組織が存在している、ということ。破壊されないための方策は、社会の中の自由をいかに保つかとのバランスをとることを要求される。バランスをとることが難しい。