アルジャジーラの本がおもしろい
すべてを敵に回したテレビ局の果てしなき闘い
上のタイトルは私が書いたものではなく、「アルジャジーラ 報道の戦争」と書かれた新刊の副題である。光文社より。ヒュー・マイルズというフリーのジャーナリストが書いたもので、今年の頭ぐらいに英国で出版されたように記憶している。
書評は悪くなく、私も買ってちびちび読んでいたが、読みきらないうちに、邦訳が出ていることを先日知った。
かなり情報が詰まっている本で、カタールとはどんな国なのか、アルジャジーラとは何なのかといった説明も加え、なかなかおもしろい。
今、第4章「9・11はメディア戦争だ」を読んでいるが、一瞬、外の暑さを忘れる。米英メディア、特に米政府・米メディアの偽善的側面が出ており、「もう1つの視点」が分かる。
ややアルジャジーラを誉めすぎというか、アルジャジーラ寄りのような印象を今のところ受けるが・・・。
最後の方は、来年から始まる、アルジャジーラの英語放送(これまではアラビア語放送)に関しての見通しが書かれている。この部分だけは、先に英語版で読んでいたが、結構否定的な見方だったように記憶している。つまり、英語放送になったとたん、アルジャジーラはBBCやCNNなど、米英のでかいメディアとの競合に入る。勝てるのか?勝てないだろう・・・というもの(だったと思う)。
この点を、カタール・ドーハで英語放送の準備をしているアルジャジーラ関係者に直接聞いてみると、「本は読んだが、最後の結論は、あくまでも1つの見方だと理解している。気にしていない」と言っていた。
アルジャジーラ英語放送のためのスタジオはまだ建設中。「24時間の突貫工事中」だという。ドーハは今日中44度ぐらいあり、昼間は熱風の中を歩くようだ。
作者のマイルズ氏は2000年、タイムズのヤング・ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤーを受賞した人だという。サウジアラビア生まれ。しかし母語は英語のようだ。名門イートン校からオックスフォード大学へ。
「すべてを敵に回したテレビ局」という副題がぴったりの本だ。