小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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アルジャジーラの本がおもしろい


すべてを敵に回したテレビ局の果てしなき闘い


 上のタイトルは私が書いたものではなく、「アルジャジーラ 報道の戦争」と書かれた新刊の副題である。光文社より。ヒュー・マイルズというフリーのジャーナリストが書いたもので、今年の頭ぐらいに英国で出版されたように記憶している。

 書評は悪くなく、私も買ってちびちび読んでいたが、読みきらないうちに、邦訳が出ていることを先日知った。

 かなり情報が詰まっている本で、カタールとはどんな国なのか、アルジャジーラとは何なのかといった説明も加え、なかなかおもしろい。

 今、第4章「9・11はメディア戦争だ」を読んでいるが、一瞬、外の暑さを忘れる。米英メディア、特に米政府・米メディアの偽善的側面が出ており、「もう1つの視点」が分かる。

 ややアルジャジーラを誉めすぎというか、アルジャジーラ寄りのような印象を今のところ受けるが・・・。

 最後の方は、来年から始まる、アルジャジーラの英語放送(これまではアラビア語放送)に関しての見通しが書かれている。この部分だけは、先に英語版で読んでいたが、結構否定的な見方だったように記憶している。つまり、英語放送になったとたん、アルジャジーラはBBCやCNNなど、米英のでかいメディアとの競合に入る。勝てるのか?勝てないだろう・・・というもの(だったと思う)。

 この点を、カタール・ドーハで英語放送の準備をしているアルジャジーラ関係者に直接聞いてみると、「本は読んだが、最後の結論は、あくまでも1つの見方だと理解している。気にしていない」と言っていた。

 アルジャジーラ英語放送のためのスタジオはまだ建設中。「24時間の突貫工事中」だという。ドーハは今日中44度ぐらいあり、昼間は熱風の中を歩くようだ。

 作者のマイルズ氏は2000年、タイムズのヤング・ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤーを受賞した人だという。サウジアラビア生まれ。しかし母語は英語のようだ。名門イートン校からオックスフォード大学へ。

 「すべてを敵に回したテレビ局」という副題がぴったりの本だ。 
by polimediauk | 2005-09-04 00:57 | 放送業界