ロンドンテロ報道 ー日本の雑誌で解説を読む
7月中はまだ英国にいたので、ロンドンテロの後で地下鉄にも乗ったし、連日のテレビやラジオの報道はかじりついて見たり聞いたりしていた。「現地にいた人の目」で、書店に出ている幾冊かの月刊誌に掲載されている、ロンドンテロの分析・解説記事を読んでみた。
特にあたっているように思った記事の1つが、「諸君!」10月号の、「自由世界はテロリストに勝てるか」(古川勝久氏と池内恵氏の対談)だった。非常によく情報をチェックしているようで、古川氏の方は7月中旬にはロンドンにいた。英国・欧州の文脈の中で今回のテロがどういう意味を持つのか、日本との関連付けは?という点が入っており、これを読むだけで、全体の状況がよくわかる。ロンドンテロが、欧州の民主主義の戦い、思想の戦いである点、「対話による相互理解の傲慢」さの指摘など、網羅されている。
古川氏は、最後の方で、「ともすればテロの温床となりうるインフラが日本にもある」としている。
「論座」9月号では、朝日新聞ヨーロッパ総局長の外岡秀俊氏による「欧州サイドミラー、自爆新世代の衝撃」という記事が現地の雰囲気を非常によく伝えている。「自国で生まれた人が自爆テロ犯だった」というのが今回のロンドンテロのポイントで、英国民にとっては大きな衝撃になっていたのだ。
もう1つは米フォーリン・アフェアーズ誌の翻訳記事で、「ヨーロッパで誕生する新ジハードの戦士」(ロバート・S・レイケン氏」が、テロを欧州移民というキーワードから解き明かしている。「アルカイダがテロ要員のリクルートの標的にしているのは、ヨーロッパのイスラム系移民二世たちだ」と前置きに書かれているが、「異なる文化を持っている移民、その二世、三世をどうするか?」が欧州では大きな問題になっている。「ヨーロッパに同化しないイスラム系移民」が何故問題とされているのか?レイケン氏は「煮え切らぬヨーロッパのテロ対策」も指摘。何故ヨーロッパに出現しつつある新ジハードの戦士が欧米世界全体にとって脅威なのか?が、読むと分かる。
(他にもたくさんあったが、全部に目を通したわけではなく、あくまで特にこれは!と思ったものを書いた、と理解していただきたい。)