小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


by polimediauk

NHKとBBC

 NHKの「新生プラン」が発表になり、受信料を払わない人には民事手続きによる支払い督促の導入が盛り込まれたという報道を昨日読み、BBCを思い出した。

 BBCの年次報告書などに詳しく書いてあり、今それを見ないで書いているが、大体のところでは、BBCの受信料を払わない人は罰せられる。人手をさいて、支払い督促、罰金、場合によっては刑務所送り、といった手段を用意している。実際に、何らかの形で罰せられる人は確実にいる。ある程度年のとった人は、罰せられない。

 電車に乗っていると、駅の構内などに、「テレビ受信料を払わないということは、犯罪です」「後で大金の罰金を払うか?それとも今受信料を払ってしまうか?どっちがいい?」といったような要旨のポスターが貼ってあり、読むたびに、どきっとした。随分厳しいなあ、と思ったからだ。

 今問題になってきたのが、BBC以外のテレビ局の番組を主に見る人、衛星放送のスカイテレビなどで十分に足りていると思う人、などが増えてきた点だ。「ほとんど、あるいは全く見ていないのに、何故受信料を払うのか?」と感じる人がいるのだ。

 BBCの受信料は、テレビ・ライセンス料と呼ばれ、BBCを見ていようといまいと、テレビの受信機があって、何らかの番組を見ていたら、払わないといけない。年に約24000円ほどだ。

 確実に、BBCの番組を見ている人は減り、他のテレビ局に流れており、デジタル・チャンネル化がさらに進めば(2012年にはすべてがデジタル放送になる。日本では2011年)、ますますその傾向が強まる、と見られている。

 一方、BBCとの比較、という側面とは全く別の問題として、NHKの受信料不払いを考える記事が、私も時々書かせてもらっている「日刊ベリタ」(www.nikkanberita.com)に出ているので、ご参考までに。

 
2005年09月21日掲載  無料記事

検証・メディア
不払い問題の原因「考えていない」 「停止運動の会」がNHKを批判

  【東京21日=ベリタ通信】有識者や市民がNHKの受信料支払い停止を呼び掛けている「NHK受信料支払い停止運動の会」は20日、NHKが「新生プラン」として民事手続きなどを通じて受信料を督促する方針を示したことに対し、「不払い問題の根本的原因を考えていない」と批判した見解を発表、橋本NHK会長にも送付した。 
 
 同会は8月にNHKが公表した視聴者の受信料不払いの理由は「不祥事・経営陣への批判」が34%とトップとなっており、受信料を支払わない人がいる「不公平感・制度批判」(33%)を依然上回っていることを指摘。「『不払いをいかに止めるかが信頼回復につながる』のではなく、不信の原因を取り除く改革を実行することが不払いを止める力になる」と訴えている。 
 
 そのうえでNHK再生のためには、朝日新聞などが報じた「番組の政治家に対する事前説明」について「通常の業務の範囲内」とした見解を撤回し、番組の事前説明を禁止する旨をNHK倫理・行動憲章に明記することなどを求めている。 
 
 
 同会は、NHKの番組に対する政治介入について、再三、NHKに質問しているが、「政治の介入によって番組を改変したことは、これまでもなかったし、今後もありえない」という回答を繰り返しているという。 
 
 同会は一方で、受信料支払い停止運動が、受信料の「不払い」ではなく、「停止」であることも強調。「双務契約の相手方であるNHK」が、公共放送に求められる自立した公正な放送の提供を履行すれば、受信料の支払いを再開することも示唆している。 

by polimediauk | 2005-09-22 08:01 | 放送業界