小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


by polimediauk

英、イラクのトップ会談がロンドンで BBC報道


ブレア英首相「イラクの大統領が望む限り、英軍は駐留する」

 6日の夜、おもしろいテレビ番組があった。テレビ欄を見てみたが該当するものがなかったので、チャンネルが分からないのだが・・。市民大学講座のような番組で、高橋和夫さんという人が、「国際政治とテレビ」というようなタイトルで、2001・9・11以降の国際政治を分析していた。(もし見つけることができる方がいらしたら、来週からでもぜひご覧ください。週一回のようです。メディアと政治に興味のある方向きです。また、NHKの「クローズアップ現代」がNHK衛星第2で午後11時55分から放送されます。これが本日午後7時半の分の再放送としたら、これもおすすめです。ロンドン・テロに興味のある方に。)

 この中で、いかに各国政府がテレビというメディアをプロパガンダとして使ったかという興味深い事例が紹介された。その中の1つで、私自身知らなかったのが、2003年11月(米)感謝祭の時に、ブッシュ大統領が在イラク米軍を尋ねた際の、あるエピソードだった。

 感謝祭の肉を大きなお盆に乗せて、これを兵隊たちに提供するような格好をしたブッシュ大統領が、一般の兵士たちと夕食をともにする・・・という場面だった。このときの写真や映像を当時見ていたはずだが、全く気づかなかったのは、この肉が、プラスチック製だったことだった。

 米兵の士気を高める、ということがブッシュ氏訪問の目的だとしたら、「その目的を最も果たせるのが、最高においしそうに見えるプラスチック製の肉を乗せたお盆を持ったブッシュ大統領」である、というホワイトハウスの判断によるもの、という説明がなされた。

 確かに、その当時はこれで目的が果たせたのだろうが、やはり何やらごまかし感という印象はぬぐえないように思う・・・。驚きだった。

 イラク関連トピックだが、BBCで、日本時間午後8時ごろのニュースとして、ブレア英首相の英軍のイラク駐留に関する記事が流れている。

 これによると、ブレア氏はロンドンを訪れたイラク大統領に対し、「大統領がそう望む限り(どんなに長くても、というニュアンス)、英軍はイラクに駐留する」と述べている。一方のタラバニ・イラク大統領は、英米軍の早期撤退は、「カタストロフィーになる」と続けている。(蛇足かもしれないが、これは必ずしも、先に報道されている来年4-5月頃の撤退あるいは縮小とは違う話、ではないだろう。ブレア首相はいつもこういうのである。また、うがった見方かもしれないが、「イラクの利権にはずっと長く関わっていたい・支配権を持ちたい」というのは、本音であろうから。第一、憲法国民投票が目前に迫り、撤退云々などの方に関心をそぎたくないだろう。「英国はイラクのために、深くコミットしている」ことを、常に内外にアピールしたいのである。)

 また、ブレア氏は、イランに対し、イラクのことに干渉するな、と警告したという。これは、イランがイラクの暴徒たちに武器を提供している、とする疑いがあるからだ。 (BBCによれば、である。英政府高官らの間では、イランの関与が常に言われてきた。)

 イラクで英兵士が殺害された際に使われた装置はイランが使用するとされたものに似ているが、「断言はできない」とも述べている。
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 タラバニ大統領は、在イラク多国籍軍が国内のテロの原因とする説を否定した。

 タラバニ大統領とブレア氏が会談をしたのは、イラクの新憲法に関しての国民投票が来週行われるからだという。今回の大統領の訪欧は4月に大統領に就任してから初。

 関連で、日刊ベリタに無料記事で出した記事をくっつけてみる。


2005年10月06日掲載  無料記事
イラク情勢
「イラクでの英兵殺害にイランが関与」 英政府高官が言明

 【東京6日=小林恭子】5日のBBCオンライン報道によると、英政府高官が、今年に入ってイラクで命を落とした英軍兵士計8人の死にはイランが関与していた、と述べた。この政府高官は匿名を条件にロンドンで記者会見した際、イラン関与に言及した。イラクの治安悪化にイランが関与している、という見方は長い間英政府内でささやかれてきたが、英軍兵士の戦死に関し、名指しでイランの関与を明言したのは、今回が初めて。 
 
 BBCは高官が会見に応じたことについて、英国とイラクとの外交関係が、イランの核開発問題を巡って既に悪化している状態であるため、何を発言しても「失うものはない」と考えているからではないか、としている。 
 
 この政府高官によれば、イラン革命防衛隊が、イラク南部のイスラム教徒シーア派に、殺害を引き起こす爆破方法を教えた、という。細かな爆破技術はレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラがイランを通じて伝え、「爆発物」が製造されたという。 
 
 実行犯は、イスラム教シーア派の指導者ムクタダ・サドル師の民兵組織「マフディ軍」から分かれた者たちで、このグループのリーダー格と言われるアーマド・アルファルツシは既に英軍に逮捕され、「現在、英国式歓待を楽しんでいる」(政府高官)という。この逮捕をきっかけに、現在も続くイラク南部バスラでの反英抗議活動が起きた、とBBCは伝えている。 
 
 政府高官によると、英政府はこの件に関しイランに抗議したが、イラン政府は関与を否定したという。 
 
 イランがなぜ、英兵に爆弾を仕掛けたのか?高官によれば、核開発に対する英国をはじめとする各国の非難に対し、「イランは、もういじめられるのはたくさんだ、と思ったのかもしれない」。. 
 
 高官は、10月19日に始まるフセイン元大統領の裁判が、12月に予定されているイラクの選挙の後まで延期になる可能性がある、とも指摘している。 
 
 一方、イラン外務省のハミド・レザ・アセフィ広報官は5日、イランのテレビ番組に出演、英政府高官の見解を「ウソ」と決め付けた上で、英政府がイラクの治安不穏状態を悪化させようとしているだけだ、と反論した。さらに 同広報官は、「英国こそがイラクの危機の原因だ」と主張した。 

by polimediauk | 2005-10-06 21:53 | イラク