BBCがアラビア語テレビを2007年から開始予定
ワールドサービスは、現在、英語と他の42言語でニュース報道を提供しており、英外務省から運営費が出ている。国内のBBC放送は視聴者からの受信料で主に運営がまかなわれており、ワールドサービスのほうは国民からの税金で提供されていることになる。2005-2006年分の運営費2億3900万ポンドのうち、年に1900万ポンドほどがアラビア語放送に使われる予定。
一方、ブルガリア語、クロアチア語、チェコ語、ギリシャ語、ハンガリー語、ポーランド語、タイ語など主に東欧の言語での放送を来年の3月で停止する。ワールドサービス側は第2次世界大戦を機に始まった東欧の言語での放送をいったんやめるということだ、と説明しているが、組合の1つは、これを批判している。つまり、資金を欧州の言語での放送からアラビア語での放送に移す、という事態を、「世界の人々は、BBCワールドサービスが政府の思惑に従って動いた」と見るのではないか、というのである。ワールドサービスのトップ、ナイジェル・チャップマン氏は、「政治的思惑はない。放送者であることが仕事だ」としている。
チャップマン氏は、中東諸国でアラビア語のテレビ放送に対する強い関心があり、BBCワールドサービスは既に信頼された放送局としての地位を得ている、と述べている。BBCのアラビア語のラジオ放送の歴史は60年に及び、ウエブのBBCオンラインもアラビア語版が既に存在している。
かつてBBCは、サウジアラビアが所有していたオービットという会社とともに、アラビア語のテレビ放送を開始したことがあったが、編集権の問題から1996年失敗に終わっている。
このとき、BBCに雇用されたスタッフの一部が、現在の衛星テレビアルジャジーラの中心的存在になっていったことは、よく知られている。
アルジャジーラの方は、逆に来年3月頃から、英語でのテレビ放送の開始の準備中だ。名物英キャスターのデビッド・フロスト氏を雇うなど、やり手のスタッフをどんどん引っ張っている最中だ。アルジャジーラ・インターナショナル(英語放送)のロンドン支局長スー・フィリップス氏に、どんな人材を採っているのかと聞いたことがあったが、「とにかく英語に堪能な人が欲しい」と言っていたが。