小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

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スウェーデンで明確な同意がない性行為は違法に 「同意」の説明動画付き

 7月1日から、スウェーデンでは明確な同意がない性行為は違法となった。

 スウェーデンの国会が5月に可決した性犯罪に関する法律によると、性行為を行う人は互いに言葉あるいはその他の形で明確に同意したと意思表示する必要がある。両者の自由意志によって行われたのではない場合、暴力や脅しがあったかどうかに関係なく、刑事犯罪になる可能性がある。これまでの法律では、「レイプ」と見なされるのは、暴力や脅しがあった場合だった。

 暴力を伴うレイプ、および児童に対するレイプは最低でも5年間の実刑となる。以前は4年だった。

 同意なしの性行為をレイプとする国は、西欧諸国ではスウェーデンのほかには、英国、アイルランド、ベルギー、キプロス、ルクセンブルク、アイスランド、ドイツ。

 日本では、昨年7月から性犯罪を厳罰化する改正刑法が施行されている。「強姦罪」は「強制性交等罪」という名称に変更された。それまでは女性のみだった被害者に男性が入るようになり、法定刑の下限が懲役3年から5年になった。起訴をするために必要だった、被害者の告訴はいらなくなった(「親告罪」としての規定を撤廃した)。

 しかし、強制性交等罪にはその手段として「暴行・脅迫」があることが前提となる。これが適用されないのは相手方が13歳未満の人のみ。脅迫・暴行がなくても、そして双方の合意があったとしてもこの罪に問われる。

2013年の事件が同意を必要とする法律につながった

 スウェーデンで明確な同意がない性行為を違法とする動きを作ったきっかけは、2013年のある事件だ。

 15歳の少女が3人の19歳の男性たちにワインの瓶を使って性行為をされた。裁判では青年たちは無罪にされ、以下のような司法判断が下された。

 「性行為を行う人々は互いの身体に対して、同意を得ず自然発生的にいろいろなことをするものだ」。裁判官は少女が脚を開きたがらなかったことを「羞恥心による」とした。

 スウェーデン国内に大きな抗議運動が発生し、「FATTA」という名前の組織が結成されるまでになった(後、控訴審で男性たちは有罪となった)。FATTAは同意がない性行為を違法とするよう活動を開始した。

 アムネスティ・インターナショナルのカタリナ・ベルゲヘッド氏によると、FATTAの活動や昨秋から世界的に広がった「MeToo」運動による世論が後押しとなって、5月末、スウェーデンの国会が同意なしの性行為を違法とする法案を可決したという。

 スウェーデンのステファン・ローベン首相は「性行為は任意であるべきだ。任意の行為でなかったら、違法。不確かだったら、止めるべきだ」と発言している。

 首相がこのような発言を公に行うことが世論の変化に「重要な役割を果たした」(5月23日、アムネスティー・インターナショナルの記事)。

 スウェーデンの動きはアイスランド(3月から合意なき性行為が違法)に続くもので、ベルゲヘッド氏はデンマーク、フィンランドなどが同様の方向に進むことを願うという。

 「まだまだ道は遠いが、女性たちや少女たちが黙っていることを拒否した時の勇気を、政治家たちがほんの少しでも示すことができれば、法律は変わる。そうすれば、私たちはMeTooと言わなくても良くなる」(先の記事)。

 スウェーデンの新法によってレイプ罪の有罪比率が高まるかどうか、レイプの件数自体も少なくなるのかは不明だが、被害の発生を防ぐ方向に法律が動いたと言えるだろう。

「同意」とは何か?

 性行為の「同意」とは?

 友人の映画ライターの方に教えていただいた、動画をご紹介したい。

 「性行為の同意を紅茶に置き換えた動画」。 英語版はこちら

 2015年、ロンドンのテームズバレー警察による紹介文がついている。

 同意と動画についての関連情報はこちらで


by polimediauk | 2018-07-18 17:16 | 政治とメディア