小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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「伊藤詩織さんを囲む会」のご報告(7月16日、ロンドン)

 7月16日、午後6時半からロンドン大学SOASで開催された「伊藤詩織さんを囲む会」は、「日本の未来をイギリスから考える会」の主催者(小野信彦、小林恭子ほか全5人)を含めて約50人が参加して行われました。


開催趣旨:

 セクシャル・ハラスメントや性的暴力に対して声を上げる「MeToo」運動が世界中に広がっています。日本でも、財務次官による女性記者へのセクハラが報道されたことでこの問題にスポットライトが当たり、ジャーナリズムに携わる女性による職能集団「メディアで働く女性ネットワーク」が組織化されています。日本の雑誌を手に取ると、続々と「セクハラ」「性暴力」が特集記事のトピックとして選択されるようになりました(「新聞研究」、「Journalism」、「世界」など).

 英国では、6月26日に大和日英基金で「日英のMeToo運動」と題されたイベントが開催され、熱い議論が交わされた後、2日後の28日には、性犯罪に対する日本社会の状況を変えるために活動を続けるフリーランス・ジャーナリスト、伊藤詩織さんに焦点を当てたBBCのドキュメンタリー番組「日本の秘められた恥」が放送され、大きな反響を呼びました。日本の性犯罪についての法律をより実態に即したものに変えるため、7月9日から13日まで性暴力被害当事者団体「Spring」 が英国を視察し、ロンドンで公開イベント(7月11日)を開催したこともあって、「状況を変えていこう」、「英国に住む邦人ができることを知りたい」という機運が高まっています。

 そんな今、滞英中の伊藤さんを囲み、性による差別を解消し、男女ともに生きやすい社会を作るにはどうしたらいいかを一緒に考えてみよう、これから何ができるかについて双方向の会話をしようというのが開催理由でした。

「日本の秘められた恥」  伊藤さんを語り手としたドキュメンタリーをBBCが放送



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(写真撮影はウェディング・フォトグラファー渡辺未知さん。)

 

 伊藤さんは番組制作までの背景を語り、放送後には英国内から数百件の応援メッセージを受け取ったそうです。「今何ができるかと一緒に考えてくれるメッセージ」で、非常にうれしかったと話しました。

 30分ほどの伊藤さんのお話の後、会場との質疑応答になりました。何人もの方が指摘したのは「BBCの番組を日本でも放映できないか」という点です。伊藤さんによると、BBCの番組を制作したのは「True Vision」という会社でこちらに連絡してみればどうかとのことでした。


 男女ともに生きやすい社会を作るため、しっかりした性教育や、人と人との関係性を子供のころから教えることの重要性も取り上げられました。


 その1例が、オーストラリアのビクトリア州の小学校で導入されている「リスペクタフル・リレーションシップ(尊厳を持った関係性)」という授業です。(参考:)こちらのウェブサイトによると、州内では1000校に導入されており、互いに対する敬意(レスペクト)を持って接することの必要性を子供の頃から教える授業のようです。


 日本のメディアの経営陣に女性を増やすことの必要性も、話題に上りました。バズフィードが報じた民放連女性協議会による調査では、在京の放送局の中で「役員」や「最高経営責任者」で女性がゼロのところが圧倒的という結果があったことを踏まえてのお話です。


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 会は午後8時過ぎには終了しましたが、伊藤さんの周りに参加者が集まり、一人一人との歓談が9時ごろまで続きました。


 (文責:小林恭子)



by polimediauk | 2018-08-11 16:53 | ロンドン