小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

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デイリーテレグラフ紙の編集長、辞職


 英高級紙の中で最大の発行部数を誇る「デイリーテレグラフ」紙のマーティン・ニューランド編集長が、18日、11月末で辞職をすることを明らかにした。

 代わりが見つかるまで、今月初旬、タブロイド紙のデイリーメールから来たジョン・ブライアント氏が仕事を引きつぐ。

 辞職の動機は特に明らかにされていない。ニューランド氏は、テレグラフの前の所有者だったブラック卿(収賄罪に問われている)のお気に入りの一人。しかし、新所有者のバークレー兄弟に嫌われていたわけではない。ガーディアン紙がまとめた情報によると、テレグラフの経営陣がニューランド氏を素通りして編集チームの人事を行っていたことが一因のようだ。特に、デイリーメールからのブライアント氏をeditor-in-chiefとして雇ったので、新任のブライアント氏の下になることに耐えられなかった、とも言われる。ところで、通常、editor-in-chiefは編集長と考えていいと思うが、例えばニューランド氏はeditorという役職名になっている。両者は同じ意味だとは思うのだが・・。そこで以下につながっていくのだが、エディターとエディター・イン・チーフがいることになったため、編集部内でも、この二人の役割の違い、一体どっちが自分の上司になるのか、混乱があったという。

 ニューランド氏がテレグラフのエディターになったのは、2003年の10月。この間の2年で、発行部数は91万部から90万部に落ち、1・37%の下落となった。しかし、この数字は決して悪いほうではないようだ。この間、インディペンデント紙やタイムズ紙がタブロイド判になり、大幅に発行部数を伸ばしている。ガーディアン紙も細長いベルリナー判になって、人気を集めたからだ。不正会計疑惑からブラック卿が去り、バークレー兄弟という新しい所有者を迎えた中、スタッフの中でもかなりの不安感が高まったと報道されてきた。大判サイズのままで発行を続けるテレグラフ。ブラック卿が多額の資金を私的に流用していたため、テレグラフにはお金がなく、レイアウト刷新への十分な資金がない、とも言われてきた。波乱万丈の2年の舵取りをしていたのが、ニューランド氏だった。

 多くのテレグラフ紙のスタッフにとっては、驚きだったようだ。

 ガーディアンは、新しいエディターの候補者として数名をあげているが、その中に、現在インディペンデント紙の編集長サイモン・ケルナー氏の名前もあった。部数下落に苦しんでいたインディペンデントを小型タブロイド判にして、部数を大きく伸ばした人物だ。まさかとは思うが・・・。

 フランスの暴動の一連の報道で、テレグラフの記事が光っていた(知りたいことが全部書いている、かゆいところに手が届くような)ように思っていたが。
by polimediauk | 2005-11-19 02:52 | 新聞業界