小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

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英新聞「ブッシュ米大統領がアルジャジーラの爆破を計画」?


 英首相官邸の「極秘資料」によると、ブッシュ米大統領が、昨年、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラの爆破を計画していたが、ブレア英首相に世界中から反感を招くという理由で止められたために思いとどまったという。22日付の英大衆紙「デイリー・ミラー」が特ダネとして報道し、通信社などでも流れた。

 この「極秘資料」は、昨年5月の総選挙の直前、英内閣府で働いていた役人デビッド・キーフ氏が当時労働党議員だったトニー・クラーク氏の下でかつて働いていたレオ・オコナー氏に渡したもの。クラーク氏(総選挙で落選)は書類を官邸に返却。公務員に課される、国家の機密情報保持の法律に違反した、ということで、キーフ氏の裁判が来週ロンドンで開始される。

 デイリーミラーの記事では、極秘資料の内容そのものの情報は、少ない。あくまでも、「情報筋」から聞いたところによると、こうだった、という形をとっている。

 この資料はブッシュ大統領とブレア首相の会話を書き取ったものらしく、5頁に渡るという。会話は、昨年、ブレア首相がワシントンを訪れ、ブッシュ氏と会ったときのものだ。ブッシュ氏がアルジャジーラへの攻撃計画をブレア氏に話したところ、ブレア氏は、カタールの首都ドーハにベースを置くアルジャジーラへの爆破で血みどろの復讐戦が始まる、として、止めさせたという。

 デイリーミラーの情報筋の一人は、「ブッシュはジョークでアルジャジーラ攻撃計画を口にした」と話、もう一人は「本気だった」と述べている。

 首相官邸は、デイリーミラーに対し、「漏洩書類の中身に関してコメントすることはできない」としている。

 デイリーミラーの分析によると、2003年3月のイラク戦争以降、米政府の批判の対象になってきたのがアルジャジーラ。抵抗軍や亡くなった兵士、イラク民間人犠牲者、民間警備会社の話を放映したのが原因だという。テロ組織(「組織」といっていいかどうかは疑問だが)アルカイダやオサマ・ビンラーディンらが、西欧にメッセージを伝えるために使ったのもアルジャジーラだった。

 もしブッシュ氏の計画が「本気」だった場合、以前に、アルジャジーラのスタッフへの攻撃を、米政権は「事故」と言ってきたが、実はそうではなかった可能性もある、とデイリーミラーは続けている。

 例えば、2001年、アルジャジーラのカブール・アフガニスタン支局に米国の2発の「スマート爆弾」が飛んできた。2003年4月、バグダットの中心部にあったアルジャジーラの支局を米国のミサイルが攻撃し、アルジャジーラの記者タレク・アイヨブ氏が亡くなっている。その一月前には、ニューヨーク証券取引所が、アルジャジーラの記者の出入りを、「保安上の懸念から」禁止している。

 最近では、アルジャジーラ特派員のタイシル・アルニー記者がテロに関係していた容疑で、スペインで投獄されたという。

 米政権の反アルジャジーラ観にも関わらず、アルジャジーラは多くの米ネットワークをしのぐようなスクープも多くものにしており、映像を世界の他局に売ることでも利益を得ている、という。例えば、ビンラーディンのテープだと、1分間2万ドルで売れるそうである。

 以上、デイリーミラーの記事から。

 デイリーミラーの書くことがどこまで本当なのかは、?である。話としては、おもしろいし、今日は随分部数が伸びるだろうなあ、と思う。

 しかし、ブッシュ大統領が、「できればアルジャジーラがないと、いい」と思っているだろう事は、ある程度本当らしいようにも思う。つまり、この記事は「本当らしく聞こえる」。
by polimediauk | 2005-11-22 18:28 | 放送業界