小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


by polimediauk

アルジャジーラの社長、ブレア氏との会見求める

アルジャジーラの社長ワダー・カンファール氏が、今ロンドンに来ている。週末までいる。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/4469044.stm

今回の目的の1つは、英政府に、いわゆる機密文書(ブッシュ米大統領が、ブレア首相と昨年4月に会ったときに、「アルジャジーラ本部の爆破計画」を口にしたのかどうか)の真偽を確かめるためだ。英国の政治家の中には機密文書の公開を求める人もいる。

今回の訪英は、パフォーマンス的な要素もあるだろう。「演技だ」といっているわけではなく、この機会を最大限に利用しよう、という要素がかなり大きいと思う。

爆破計画が本当で、冗談だけではなかった場合、過去にアルジャジーラとブッシュ政権は対立してきており、米軍のミスによる爆破で命を落としたアルジャジーラのジャーナリストもいて、実際、事故だったのか、故意に爆破したのか?という重要な問題が再浮上する。

しかし、イラク戦争も含めて、メディアの戦争が起きているという現状があるわけだから、この点から、どっちが世論を説き伏せるか、もっともらしいことを言っているか、という観点からすると、アルジャジーラが今のところ優勢だ。表現の自由の侵害、と言われると、どんな政権でも、特に民主国家の政権は耳に痛い。

昨晩、「クエスチョンタイム」という討論番組を見ていたら、パネリストの政治家やコラムニストらは、ほとんどが、「本気だったのだと思う」としていた。

「今までを見ると、ブッシュ政権は邪魔なものをことごとく排除してきた」と、一人の労働党員が番組の中で、言っていた。「だから、過去を振り返れば、本気でブッシュはそういったのだと思う」。

戦争の時に、情報というのはものすごい力を持つ。武力と同じかそれ以上に。

真実が(ブッシュが何を言ったか、でなくて、過去の事故が実は事故ではなかったのかどうか)明るみに出るだろうか?

もし出たら(事故でなく故意の武力攻撃だということが証明されたら)、これは相当なスクープになるだろうと思う。イラクのアブグレーブ刑務所のスキャンダルをしのぐほどではないかと思う。
by polimediauk | 2005-11-26 01:39 | 放送業界