小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

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ライス米国防長官が、「秘密収容所疑惑」を否定


 米CIAが、テロ容疑者を海外にある秘密収容所に送り、拷問をしているのではないか?という疑惑が、一月ほど前から、表にでるようになった。

 こうした収容所の一つは東欧諸国、例えばポーランドに送られた、という報道もあった。ポーランドの大統領はこれを否定。

 問題は、CIAは英国を初めとして、西欧諸国の飛行場を通って、東欧や他の国に容疑者を送っている可能性があり、西欧諸国の政府が「事態を知りながら、米国に協力していた」可能性が高い点だ。

 そうすると、責任を問われるのは、米国だけでなく、英国、ドイツなどの政府でもある。

 ライス米国務長官が訪欧するにあたり、この問題が話し合われる可能性があったが、BBCオンラインの報道によると、ライス氏は、ドイツに向かう直前、米政府がテロ容疑者を移動させていることは認めたものの、CIAが拷問用の秘密収容所を運営しているかに関しては否定。(今現在。)http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/americas/4499648.stm

 先に、英ITVなどのレポーターが予測していたのは、ライス氏は、「おそらく否定するだろう」。しかし、「細かいところまでは立ち入らないようにするだろう」と。

 容疑者の送致の詳細に関しては、ライス氏は語らずだった。理由は、インテリジェンス上、軍事上などの機密を守るためらしく、「他の国もそのように解釈していると思う」と語っている。

(時事の参考記事を以下に)

2005/12/05-07:38 時の言葉「秘密収容所疑惑」
 米紙ワシントン・ポストは11月初旬、中央情報局(CIA)が国際テロ組織アルカイダのテロ容疑者を拘束・尋問する秘密収容所が東欧諸国に存在すると報道。東欧諸国は疑惑を否定しているが、米側は収容所の有無について、公式には肯定も否定もしていない。
 その後、CIAがテロ容疑者を第三国へ移送するため、目的を説明せずに欧州各地の空港を使った疑惑も発覚。欧州連合(EU)が米側に説明を求め、収容所を設けた加盟国に対する人権違反での制裁論も噴き出すなど、米欧間の外交問題に発展している。(了)

by polimediauk | 2005-12-05 22:17 | 政治とメディア