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小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


by polimediauk

風刺画掲載問題で、仏紙編集長が首に


 デンマークのユランス・ポステン紙が昨年9月イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載し、イスラム教諸国から抗議を受けてきたが、1日、フランス、イタリア、ドイツ、スペインの新聞が12枚の風刺画のうちの一部あるいは全てを「表現の自由を守る」ために、それぞれ掲載した。

 1日夜、AFPなどが伝えたところによると、風刺画を掲載したフランス・ソワール紙の所有者が、編集長の首を切ったそうである。

 所有者レイモンド・ラカー氏が発表した声明文によると、managing director of the publicationである、ジャック・ラフラン氏を、「個々の個人的な信仰と信念に対する尊敬」を示すため、解任することを決定した。「イスラム教のコミュニティーと、風刺画の出版によって衝撃を受けた全ての人々に遺憾を表明する」。

モロッコでは、1日付フランスソワール紙の国内での販売を禁止していた。「表現の自由という名目の元で、ムハンマドの風刺画を掲載した」ためだ。
 
 一方、レスティーさんから、デンマークの女王がイスラム教徒に対する批判的なコメントをしていた記事(デイリーテレグラフ)を教えていただいた。
http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2005/04/15/wqueen15.xml&sSheet=/news/2005/04/15/ixworld.html

 「デンマークの女王が、イスラムに対する抵抗を示すべきだ」という記事(2005年4月15日付)。

 これによると、デンマーク政府は、外国人嫌いが高まる政策を実行してきており、批判が起きていたようだ。例えば、事実上、亡命者の受け入れを停止するような政策を実行している、という。

 前日(14日)発売された公式自伝によると、マルグレーテ2世はイスラム教徒に対する批判的な発言をしている。「近年、地球レベル及びローカル・レベルで私たちはイスラム教によって挑戦を受けていると思う。この挑戦を真剣に受け止めるべきだ。 この問題を私たちは長い間、何もしないでほうっておいた。私たちが寛容で怠惰だったからだ。」

 「私たちはイスラム教に対する抵抗を見せなければならない」

 「寛容であるときには、便利だからそうしているのか、確信を持ってそうしているのか、知っていなければならない」。

 65歳の女王は1972年から現在の地位にあり、政治的力はないが、政治問題に関してコメントを出す。

 過去3年の間で、デンマークは移民規制策を打ち出しており、反移民の
Danish People's Partyは、移民が妻(あるいは夫)をデンマーク内に呼び寄せる手続きを難しくするような法案が通るようにしたという。

 女王は、自伝の中で、不満を抱く若いイスラム教徒の国民が宗教に避難場所を見つけても無理はない、としている。デンマーク社会との融合をさらに進めるために、イスラム教徒たちにデンマーク語を学ぶことを奨励するべきだ、として、「隣同士に住むだけで満足するのでなく、共に住むようにするべきだ」と述べている。
by polimediauk | 2006-02-02 18:37 | 欧州表現の自由