小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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デンマーク風刺画掲載 + ドイツ紙インタビュー


 オランダの右派政治家ヘールト・ウイルダース氏が、自分のホームページに12の風刺画を掲載した。http://www.groepwilders.nl/ (一番最初のストーリーの左下、Lees verderというところを、クリック。)

 若干英語がついているものの、他の言語で表記されている分に関しては、私には全ての意味は分からない。

 オランダのラジオ放送Radio Netherlandsが、風刺画を掲載したドイツの新聞Weltの外報デスクに取材している。

 http://www2.rnw.nl/rnw/en/currentaffairs/ger060202?view=Standard&version=1


 ―何故出版を?

 Jacques Schusterジャック・シュスター氏:報道の自由の戦いをしているデンマークの新聞を支持するためだ。社内で議論し、イスラム教徒の感情を傷つけるかもしれないが、報道の自由の支持に社内の意見が固まったので、掲載を決めた。

―何らかの脅しが来るとは思わなかったか?

 シュスター氏:心配はした。今日、たくさん「攻撃的」メールを受け取った。しかし、検閲を受け入れるわけにはいかない。文化の自由、西欧の自由を弁護する。抽象的な、あるいはリアルな危険があるからといって、隠れているわけにはいかない。

 ―宗教に対する尊敬の念が少ないのでは?

 シュスター氏:それはそうかもしれないが、英「ライフ・オブ・ブライアン」(英コメディアングループのモンティパイソンが製作、出演)を見て欲しい。キリスト教信者の気持ちを傷つけたかもしれない。 しかし、私たちはジャーナリストだし、ニュースを扱うのが仕事だ。ニュースの1つがデンマークから来た。それで、掲載した。宗教的感情と報道の自由のバランスをとることが重要だ。

 ―掲載は挑発的過ぎたのではないか?

 シュスター氏:ある意味では、そうだ。だが一方では、そうではない。アラブ世界からは、ユダヤ人やアメリカに関して随分攻撃的な画像が流れてくる。イラクの犠牲者、ドイツの犠牲者などの画像が出ているが、イスラム教の国のリーダー達がこうした画像や暴力を非難しているのを聞いたことがない。隠れているべきではないと考えている。

 それに、この風刺画はある意味では、それほど危険だとは思わない。
個別に、ある風刺画が出版にたるかどうか、判断していかないといけないと思っているが、今回に関しては、出版してもいい、と判断した。

 ―ドイツで抗議運動などがあるのでは?

 シュスター氏;ありうる。しかし、私たちはジャーナリストであるし、現実を報道したい。それで問題がおきるかも、とは考えない。

 私たちには私たちのルール、原則がある。主原則の1つは、表現及び報道の自由だ。この件に関しては、報道の自由を擁護したい。

(追記)
 夕方のBBCラジオで、英国の新聞の編集長らに、この一連の風刺画を掲載するかどうか、という質問をするコーナーがあった。デイリーテレグラフは答えを返さなかったということだが、タイムズ紙は載せないそうだ。インディペンデントは、編集長が電話インタビューで出演。「政治的宣伝の意味合いが強い」「載せる意味がなければ載せない」「インディペンデント紙は、イラク戦争に反対だったし、ムスリムの読者も多い」「故意に読者の感情を害するような風刺画を載せるつもりはない」、といったことを述べていた。どんどん大きくなる論争に「乗っかる」のはいやなのだろう。ある意味では、ちょっとほっとするスタンスだ。

 一方、フランス・ソワール紙の編集長(Editor in chief)が会見を開いたようだ。この人自身が辞めさせられ人なのかどうか、ちょっと分からなかったが、基本的には表現の自由、報道の自由、を訴えていたようだ。テレビで短い時間映っていただけだが。
 
by polimediauk | 2006-02-02 22:43 | 欧州のメディア