小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


by polimediauk
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

デンマーク風刺画 雑感


 3日付の英国の新聞各紙は、風刺画掲載をしない理由をそれぞれ述べていた。もっと詳しくはできれば後で紹介したいが、特にタイムズの社説が冷静に問題を論じており、感動した。デイリーテレグラフは保守系読者に向けてかかれたもので、ガーディアンは「今のところはまだどの英国の新聞も掲載していないが」という箇所があって、揺れている感じがした。インディペンデントも何故載せないかをきちっと書いている。ファイナンシャルタイムズも何故を書いていたが、あまりおもしろくなかった(独断的感想のみで恐縮だが)。

 何故載せないのか?の方が、何故載せたのか?という部分よりも、むしろおもしろい状況になってきた。
 
 全体的に、
 ―問題の風刺画そのものが、それほどおもしろいものではない(したがって、何らかの形である主張をしたいのだとしても、それほど効果的にできない)
 ―今となっては、載せたら、イスラム教徒を攻撃することが火を見るより明らか。その目的以外の目的がない。こういう形で攻撃したい、という気持ちがないので、載せない。
 ―報道の自由にも、もちろん限界がある(とはっきり書いていたのがタイムズだったように思う。その具体例をあげている。)
 ―報道の自由は、何でも言っていい、という意味ではない。権利はあっても、義務ではない。

など。

 掲載したら、編集長が首を切られるから、といったコメンテーターもいる。(結構あたっていると思う。英国で、社主に首をきられた編集長は、常にいるからだ。)

 ただ、ずっと掲載をしないのかどうかは、本当のところ、分からない、と個人的には思っている。

 夜のBBCのニュース解説番組でも取り上げられ、たくさんの情報が今、英国内ではでている。重要だと思うこともたくさんあったのだが、時間がドンドン過ぎてゆく。

 私がこの問題を追っている理由の1つは、欧州あるいは米国のメディア機関が「言論の自由」「報道の自由」という時、なにやらうさんくさいなあ、と思うときがあるからだ。

 欧州のメディアにも明らかに言ってはいけないこと、自分では言わないことがあり、そういうことが非常に明らかであるにも関わらず、「報道の自由」と、自分にやや遠いことに関しては言うときがある。

 やはり、イスラム教徒に対する、無意識・意識上の反感が欧州内にあるのかな、と思う。

 ドイツ紙の編集長が、昨晩のテレビに出演して、言っていたのは、「権威に対する尊敬の念が少ない、という」点、これは、「私たちの」文化だ、と言っていた。この人が「私たち」を連発するので、司会者が、「移民も増えていろいろな文化が混在している」のだから、「私たちの文化」も変わるべきではないか、と突っ込みを入れていたのが印象的だった。

 まだまだ続くようだ。
by polimediauk | 2006-02-04 03:36 | 欧州表現の自由