小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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フランスの雑誌も掲載

 今これから出かけるので、名称を詳しくかけないままで恐縮だが、朝のラジオ番組「TODAY]を聞いていたら、あるフランスの風刺雑誌が風刺画を載せた、ということで、編集長がインタビューされていた。(追加記事を下に。)

 -今問題の風刺画を掲載することで、イスラム教徒を傷つける、侮辱するということが分かっていて、掲載するのは何故か?本当に表現の自由のため、というのが目的なのか?

 雑誌側:侮辱するような内容ではないと思う。人々の信仰には尊敬を抱いている。何故出したかというと、表現の自由のためだ。現在は表現の自由が危機状態にある。他の価値観や宗教に関して寛容でないといけないが、私たちの社会全体で重要な原理である表現の自由のために、行動を起こすべきだと思った。

 この雑誌の名前など、後で調べたいと思うが、本気で(?)、この時点において、「表現の自由」を考えているとしたら、やはり、まだまだ溝は深くなるような気がするし、対立はすぐにはおさまりそうにない。

 一方では、「今回の事件があるから、載せない」と全ての出版物が判断するとしたら、これは、「いかがなものか?」ともし聞かれたら、うーん・・とも思う。難しいものだ。

 追記

 もうご存知の方は多いとは思うが、産経で、以下の記事が。新たなムハンマドの風刺画に合わせて、これまでの例の風刺画も入れた、というから、随分力が入っている。

 8日の昼間、イスラム教団体の人、及び英メディアの人に取材したが、風刺画に限らず、世界中で、イスラム教と欧州の世俗主義の覇権争い(大雑把な表現で恐縮だが)・せめぎあいが起きているようだ。どちらも簡単には譲らないだろう。

 欧州に住むなら、世俗主義(政治と宗教を別にする)は当たり前だ、とする考えと、これになじまないイスラム教徒の考え方。どちらかが折れない限り、平和はないように思う。


ムハンマド風刺漫画問題 仏紙、新たな風刺画掲載 イスラム教徒の反発激化も

 【パリ=山口昌子】八日に発売されたフランスの漫画週刊紙が、イスラム教の預言者ムハンマドの新たな風刺漫画を一面に掲載した。ムハンマドが頭を抱えて、「愚か者に愛されるのはつらい」と語っている構図で、イスラム教徒をからかったとも取れるものだ。国際社会では事態沈静化を呼びかける動きが出てきたところだったが、イスラム教徒側が「新たな挑発」と受け止め、反発を強めるのは必至だ。
 掲載したのは「シャルリー・エブド」紙で、フランス通信(AFP)によると、漫画には「ムハンマドが原理主義者に悩まされている」との見出しがつけられている。同紙は合わせて、問題の発端となったデンマーク紙が掲載した風刺画十二点も中のページで掲載した。
 フランスのイスラム教団体は同紙の発売前に裁判所に発行差し止めを求めたが、裁判所は七日、この訴えを退けていた。同紙の通常の発行部数は十四万部だが、今回は特別に四十万部を発行。それが発売日の八日午前中に売り切れたという。
 同紙のバル編集長は同日、記者会見し、「法治国家では風刺を掲載する必要がある」と掲載の正当性を主張。イラン紙が企画しているとされるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の風刺漫画も掲載する方針を示し、イスラム教徒だけを対象にしているわけではないと強調した。
 一方、シラク大統領は同日、報道官を通じ、「あからさまな挑発」を避けるよう呼びかけるとともに、宗教に配慮するよう求めた。フランスのイスラム教徒人口は約六百万人と欧州でも最も多い。
 この問題をめぐっては、国連とイスラム諸国会議機構(OIC)、欧州連合(EU)の三者が七日、共同で緊急声明を発表するなど、イスラム世界を含む世界各地で沈静化への呼びかけが本格化していた。
 国連などの共同声明は、対話による問題解決を図るよう求めたうえで、「言論の自由は責任と深い思慮に基づいて果たされるべきだ」と強調した。
 駐留ノルウェー軍が襲撃される事態に発展しているアフガニスタンでも、イスラム教団体の指導者がテレビやラジオで「デモ行進は許されるが、暴力に訴えることは許されない」と呼びかけていた。
(産経新聞) - 2月9日2時56分更新

by polimediauk | 2006-02-08 17:59 | 欧州表現の自由