小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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アブグレーブ画像、デンマークー3


 今、BBCオンラインを見たら、イラク・アブグレーブ刑務所での虐待の新しい映像が出た・・というニュースがトップになっていた。こうも続々といろいろなことが出てくると、風刺画問題や英人兵士のイラク人虐待映像などと連動しているのかしていないのか、よく分からないが、何らかの政治的意思を感じる。それとも、ただの偶然だろうか?

 ガーディアンにいくつかの映像が出ているが、「本当に」、かなり気色悪いものなので、ご注意ください。http://www.guardian.co.uk/gall/0,,1710396,00.html アブグレーブの映像の波紋が世界中に広がり、また暴力につながっていくのかと思うと、衝撃が大きい。

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 デンマークのコペンハーゲンと西のArhursは、午後から雪だった。

 細かい事実をチェックしておらず、「聞きがたり」だが、昨晩、デンマークの食製品会社(アラブ世界での不買運動のため、多くのお金を失っている、人員カットも実行されるかもしれない。市場競争は激しく、2度と市場シェアを取り戻すことができないといわれている)の経営陣が、テレビでインタビューされたそうである。

 「デンマーク人であることに誇りを持ってきたが」・・・と言った後、なみだ目になり、カメラを動かして欲しいといったが、カメラが動かなかったので、ずっと撮影されており、「明日はデンマーク人であることを誇りに思う自分でありたい」といったそうである。何となく、昔の、山一證券の社長がテレビ画面で泣いたことを思い出した。

 今日までの時点で、風刺画を掲載したユランズポステン紙を筆頭として、今後どうするかに関して、様々な視点からの議論が続いているようだ。

 ポステンのライバル紙「ポリティケン」の日曜号に、これまでの経緯を分析した記事が載り、その中で、1つ「新事実」といわれていることがあったが、それは、昨年の10月ごろ、11人ほどのイスラム諸国からの大使が、デンマーク首相との会談を希望した。9月の風刺画に対する抗議をするため、である。

 首相はこのリクエストを断った。「独立メディアのやることに、政府は干渉できない」ということから、会わなかった。これが後で致命的といわれるのだが、会談前に、大使らが送った手紙(英文)の分析が載っており、これによると、「法律の範囲内で、どうにかしてほしい」と大使側は要求したのだが(例えば人権擁護法なり、国内の法律)、抗議をするため「法的手段に訴える」と書いてあった、と、これまで政府側はメディアに説明してきた、という。ある独立メディアの編集内容に抗議するため、「法的手段に訴える」というけんか腰では、首相も大使らに会うことはできない・・というのは、一定の納得を与える説明だった。メディア側は、「そんな無謀な要求をするのだったら、首相が会わないのも、一理ある」と解釈してきたという。ところが、実際は、違うニュアンスだった、と。もしポリティケンの書いたことが真実なら、首相・政府側は、国民に不正確な情報を与えていたことになるのではないか?

 まだまだ、「一体、何が起きたのか?」の議論は、デンマーク内では続いている。

 
by polimediauk | 2006-02-16 08:15 | 欧州表現の自由