映画「グアンタナモへの道」
先月、ベルリン国際映画祭で銀熊賞というのを取っている。監督賞と同様であるようだ。マイケル・ウインターボトム氏が共同監督した。
映画を見た後、ダウンロードできるようになっていたので、やってみた。何故か英国居住者だけがダウンロードできる、と書かれてあったが。(映画をダウンロードしたのは初めてだった。20分ぐらいかかっただろうか。日本円で1000円くらい。)アマゾンをのぞいてみると、26日ごろから、DVDでも販売している。
http://www.channel4.com/film/newsfeatures/microsites/G/guantanamo/index.html
英国バーミンガムに住んでいた20歳頃の青年たちが、パキスタンからアフガニスタンにでかけ、タリバン戦士としてつかまってしまい、キューバにある米軍グアンタナモ基地で2年ほど拘束されてしまう、という物語だ。現在は、解放されて、英国に戻ってきている。
今日の新聞各紙のテレビ評を見ると、全部が全部といっていいほど、同じことに関して疑問を呈している。
つまり、「何故青年たちがパキスタン、アフガニスタンに行ったのか}(1人は結婚するはずだった、というのが理由だったけれど)、「監督は、青年たちの言うことを、うのみにしすぎる」というもの。
映画としては、私はよくできていると思ったし、最後は非常に叙情的で、終わりよければ・・という感じだったけれど、「青年たちのいうことを鵜呑みにしすぎている」という批評が、気になった。
つまり、2004年、グアンタナモの拘束者に関しては、既に芝居になっていて、それがとても好評だった。(「グアンタナモ:自由を守る誇り」--ビクトリア・ブリッタン氏他が書いたもの)。この芝居の上演時点では、英国人青年たちの何人かはまだグアンタナモにいたけれど、それでも、全員が「無実なのにつかまった」という前提で芝居が書かれていた。
2004年の時点では、何の不満もなかったはずなのに、2006年の現在では、メディアの中に疑念が湧いてしまっているのだろうか?2005年7月のロンドンテロの影響か?
ロンドンテロは、イスラム教徒の4人の青年たちが実行犯だったけれど、家族や知人らが、彼らのことを、「愛情あふれる、家族思いの青年たち」と評していた。
この青年たちと、グアンタナモにいて、帰ってきた若者たち、ほとんどが英国で生まれ育ち、イスラム教徒であること、主にパキスタン系であることなどが共通点だが、一方は無実なのに拘束され、一方は誰も気づかないうちにテロを起こしていた。
一体、誰を信じたらいいのか?という思いが、英社会の中にあるのだろうか?