小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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風刺画いろいろ

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デイリーテレグラフのある日の風刺画
ニック・ガーランド氏画
(ブレア首相の言葉で、「俺はストレートな人間なんだよ」という決まり文句があるが、実は・・・というのが分かる。ドリアン・グレイにかけたものなんですけど・・・すみません、分かる方はもっと分かるでしょう・・。英国で最も「文学的な風刺画家と言われている人です。左上のロゴ写真は、デンマークの新聞に風刺画を描いている人のポスターです。)

 デイリーテレグラフでは、政治風刺画の画像をオンライン上に残してあるので、上に載せてみた。ガーディアンも、スティーブ・ベル氏の風刺画を残している。

 英国、フィンランド、デンマーク、英領北アイルランドの新聞に目を通す機会があった。例の風刺画の事件で、デンマークに行って新聞を見ると、やたら風刺画というか、イラストが多い!一紙に数枚はある。小さなイラストも入れて、だが。逆に、同じスカンジナビアでも、フィンランドは写真ばかりで、1枚あるかないか。英国(ロンドン)、北アイルランドは1-2枚位。

 国によって、随分違う。同じ「風刺画」あるいは「新聞」といっても、その国の文化の文脈の中では、随分違った風に受け止められているのだろうな、と思う。と、すると、「表現の自由」という言葉が意味するところも、国によっては、随分違うかもしれない、と思う。

 デイリーテレグラフは(最近自宅でとるようになったので、急に詳しくなったのだが)、フロント面に、マットという風刺画家が、毎日風刺画を出している。これがなかなかおもしろい。例えば、生理の前、女性がいらいらする症状を解消する良い薬が出た、というニュースがあった時、夫婦らしきカップルの風刺画を描いていた。女性が何かものを男性に投げつけていて、確か、生理前のいらいらを解消する薬が出た、というトピックに対してものすごく怒っている絵柄だった。この女性には薬は効かないようだ・・・。(絵を見てもらうと、おかしみがいっぺんに出るのだが・・。分かりにくくて申し訳ない。)

 北アイルランドの新聞でおもしろかったのは、新聞ごとに読者層が全く異なるので、同じ人物、同じニュースでも全く扱いが異なることが多いのだ。例えばDUPの党首イアン・ペイズリーという人がいるが、ある新聞では「プロテスタント強硬派」でこわもてのイメージだが、他のある新聞では、「80歳の誕生日、おめでとう」「いいおじいさん、孫には弱い」というイメージだった。もちろん、人間には様々な面があるのだが・・・。


 
by polimediauk | 2006-04-10 08:30 | 新聞業界