小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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児童性愛主義者の情報公開をどうするか


 前にもこのテーマで書いて、読んだ方からいろいろコメントを頂き、「それで小林はどっちなんだ?」といわれ、どっちつかずの態度になったトピックが、児童性愛主義者の個人情報公開の話だ。

 米国では、メーガン法(犠牲になった少女の名前からとったもの)があって、州によっては、性犯罪者が自宅近くに住むかどうかを、住民自身がウエブサイトで調べることができる。写真も出ていると言う。

 英国も同様の方法を導入することを、政府は考慮しているようだ。

 英国では、児童に対する性犯罪を行った大人は、刑務所に入れられたりなどの処罰を受け、性犯罪者リストに名前や住所などが登録される。出所後は、警察に新たな住所を登録することが義務付けられる。この義務を怠ると禁固刑となる場合もある。また、子供と接する職業につくことを禁じられる。場合によっては、学校の近くに住めないなど、条件がつくこともある。

 個人情報は、社会福祉団体などにも渡る。学校で先生を新規に雇う場合、該当人物が性犯罪者リストに名前が載っている人物かどうかを照会できる。

 しかし、一般の住民が、あるいは親が、近隣に性犯罪者が住んでいるかどうかを、米国のように確かめることはできない。そこまでは情報が公開されていない。

 ところが、最近、ある性犯罪者に対する刑があまりにも軽いことで、これを非難あるいは懸念する世論が出てきた。そこで、内務省が、一般住民のレベルまで、性犯罪者の情報を公開するべきかどうかの可能性を、メーガン法のある米国に人を派遣して、状況を調査することになった、というもの。

 英国では性犯罪者、特に児童性愛者に対する懸念が非常に強い。児童性愛者と小児科医の英語名は似ており、ある小児科医の家が襲撃にあい、引っ越さざるを得なくなった、というケースもあった。

 BBCなどによると、近所に住む性犯罪者の住所が分かったとしても、これが犯罪の低下を招いてはいないそうだ。必ずしも。

 さらに、英国の性犯罪の80%が家庭内で起きる、つまり、見知らぬ人が子供に悪いことをしてるのでなく、父なり、兄なりが、娘や妹(あるいは息子や弟)に、性犯罪を犯しているケースだそうだ。(と言う話をテレビで聞いた。)

 深い話だ。一体どうなることか、と思う。

 もう1つ、記憶を頼りの話だが、性犯罪の常習犯と言うのは、直らない、と聞いた。刑務所に入れて、「反省させて」、直るようなものではない、と。本当だとしたら、つらい話だ。一生涯、監禁しておくわけにもいかないのだから。足などに電子タグをつけて、居場所が分かるようにしておき、学校などに近づいたら、すぐ警察に情報が通じるようにしている、重度の性犯罪者もいる、という。

 英国で性犯罪者の住所などの個人情報に誰でもがアクセスできるようになった場合、過去の例からすると、暴動、襲撃などが起きる可能性は高い。

 

 


 

 

 
by polimediauk | 2006-06-20 08:24 | 英国事情