小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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CBSテレビがネットで同時放映

世界中で、一体どれほどの既存の放送局が番組をオンラインでも見れるようにしているのだろう?一部がストリーミングで見れるようになっているのは、いろいろあるようなのだが。

 例えばBBCはウエブサイトを通して、多くのニュース番組やスポーツ番組などが同時と後から見られるようになっている。ラジオに関しては基本的に全てが同時と放送後の7日間、聞ける。テレビも同様になる動きもある。

 8月18日付の英各紙によると、米国の大手テレビ局としては初めての動きとして、CBSが、9月5日から、夜のニュース番組をネット上でも同時に見れるようにする、という。テレビのニュースを避ける傾向にある若者を捕まえるため、ということだ。

 この日は、米国のテレビネットワークでは初の女性ソロ・アンカー(一人でニュースのプリゼンター役となる)のデビューとなる日でもあるそうだ。(この点では米国は遅れているのだろうか?日本では既にあったと思うし、英国でも珍しくはない。)

 1980年代と比べると、大手米ネットワークはCNNやフォックスにパイを奪われ、視聴者が半減してしまったという。CBSがブロードバンド用ネットサイトを開設したのは昨年だ。

 一方、ABCやNBCも何とか若者の視聴者を増やそうとしており、アンカーたちによるブログやポッドキャスティングなどをウエブサイトに開設しているという。CNNはパイプラインというサイトを立ち上げ、ここを通じて視聴者が見たい番組のビデオ・ストリーミングで提供している。

 テレビ・ニュースの動きを追っているティンドール・レポート社のアンドリュー・ティンドール氏は(余談だが、昨年秋、オランダのメディア会議で氏に会った。どんな会社かサッパリ分からなかったが、やっとこれで意味が通じた)、「これから5年もすれば、CBSのニュースは、放送業の製品とは思われなくなるかもしれない。テレビ受信機も含めた様々な装置を通して視聴するビデオ製品となっているかもしれない」、と、ファイナンシャルタイムズ紙に語っている。

 CBSデジタルのラリー・クレーマー氏によると、今回の動きに踏み切ったのは、今年3月、毎年行われる大学のバスケットボールの選手権の様子をネット上で一部流したところ、大好評だったそうだ。「これからは、ニュースとスポーツ番組がウエブでの主眼になる」。
by polimediauk | 2006-08-20 05:05 | 放送業界