小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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ブレア氏が7日、辞任時期を発表?+ブッシュ氏

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 明日(7日)、ブレア首相が、退任時期について発表するようだ。以前、辞める時期に関して、大体のことは言っていたのだが(これ自体、前代未聞)、正確に何時とは言っていなかった。

 労働党議員らが、「一刻も早く正確な退任時期を明確にして欲しい」という趣旨の公開書簡を出し、これがきっかけで、大きな政治的プレッシャーとなり、とうとう言わざるを得なくなった。

 それにしても、何故今言わないといけないのか、労働党内の出来事でばたばたするよりも、政策をきちっと実行して欲しい、という声は多い。私自身もそう思う。既に首相に対する信頼感は国民レベルで低くなっていると思うが、それにしても、それほど長くはいないことを自分であきらかにしていたのだから・・・。

 次の首相は現在財務大臣のブラウン氏というのがこれまでの見方だった。政権を取る前に、「自分の次は彼」という取り決めが、ブレア氏とブラウン氏の間でできていた、と言われている。

 1997年に労働党が政権を取ってから、9年以上になる。そんな前の話を、それも2人で決めたといっても、それではまるで、労働党が2人の私物のようにも聞こえてしまう。

 それに、一体、ブラウン氏が政治家として、一体どんなビジョンを持っているのか、全く見えてこない。

 ポスト・ブレアの時代が、明日から本格的に始まるように思う。

 これが現在のトップニュースだと思っていたら、ブッシュ大統領が、CIAの秘密の収容所の存在を認めた、という記事がBBCに出ていて、驚いてしまった。拷問は行われていなかった、とはしているが。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/americas/5321606.stm

 今夕、「法の無い世界・ローレスワールド」という本を書いた、フィリップ・サンズという国際法の弁護士の話を聞いていたが、主題は、9・11テロの後、国際法という観点から、世界はどう変わったか、という話。

 彼は、この5年間で、ブッシュ政権が国際法・ルールをことごとく破り続けたことに対して非常に暗い気持ちを抱いてきたが、最近は、やや楽観的になっている、と述べていた。
 
 ネオコン勢力がやや弱まったような、国際法を遵守しようとするような、「ちょっとした兆候」が見られる、というのだ。

 今日のブッシュ氏のCIAの秘密の収容所を認めたという話も、まさに、「ちょっと変わりつつあるブッシュ政権・論調」なのか?と思ったりする。
by polimediauk | 2006-09-07 07:50 | 政治とメディア