小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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英内務大臣のすごいバトル

英内務大臣のすごいバトル_c0016826_5493631.jpg今日、昼頃、ぼうっとBBCのニュース24を見ていたら、リード内務大臣が、東ロンドンのある場所でスピーチをしている様子が映っていた。

 ムスリムによるテロを防ぐため(言葉はいろいろ違うものを使っているが)、親・家族が、もし子供が過激主義に走りそうになったら、注意して、そっちの方向に行かせないようにしよう、親はそういう義務があるんだよ・・・・というようなことを話していたようだった。

 その途中で、突然、聴衆の中の一人が、大臣に向かって、叫ぶようにしゃべりだした。音を消していたので、あわてて音を大きくした。

 6月に東ロンドンの無実のムスリムの兄弟が、「テロリストの可能性がある」として、警察の捜査を受けた。一人の兄弟は撃たれてしまった。結局、無実だった。フォレストゲイト事件、という。

 この男性は、白いムスリム装束で、ものすごく、怒っていた。「警察はフォレストゲイトのようなことをしている。国家そのものがテロをやっているじゃないか」。

 周りの人がおろおろして、静かにしなさい、外に出ましょう、とか言うのだが、男性はやめなかった。

 この人は、既に禁止されたイスラム過激グループの一員だった。

 内務大臣は、決まり悪そうにこれを聞いていた。ずっと。

 しばらくして、男性が外に出たので、カメラが追った。テレビ画面が2つに分かれて、半分は外にいる男性がカメラに向かって話す様子、もう半分は大臣がまた話を始める様子を映した。

 こういう場合、大臣の立場にいる人は、非常にきまずい。決まり悪い。

 それでも、一生懸命、「こういうことは、政治をやっていれば、いつもあることなんだよ」と言って、「狂信的な人が脅すと怖いけれど、勇気を持って立ち向かうことが必要だ」といった。

 私は、テレビで見ていただけだったが、緊張感が伝わってきて、男性の怒鳴り声があまりにも強くて、心臓がどきどきした。怖かった。

 全体的に、他の欧州の国と比べると、英国はイスラム教徒が特に生き辛い国、というわけではないと思うけれど、何故これほどの怒りがあるのか。何故こうなってしまったのだろう。

 親が過激主義に染まりそうな子供を注意してみるなんて、ほとんど、アナクロっぽいと言われても仕方ない。第一、「子供」といっても、18歳、20歳などのいわば大人だ。親が何か言って、聞くだろうか?コンピューターのチャットルームで過激思想にはまるなら、親が分かるわけは無い。

 それでも、大臣として、こんなことも言わなければならないのだろう。言っている事がある意味ではばかばかしく聞こえるかもしれなくても、あえて言わざるをえないのだろう。テロをとめる特効薬は無いのだから。

 何と悲しいことだろう。

 この様子はビデオで見れる。

 http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/5362052.stm

 ここから、ビデオを見る、を選び、Heckler interrupt John Reid's speech(約2分)を選択する。

 
 
by polimediauk | 2006-09-21 06:03 | 英国事情