小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


by polimediauk

ロンドンで新しい無料紙発行から約1ヵ月


 新しい無料紙・フリーペーパーが発行されてから、ほぼ1月経つ。

 この無料紙、本当に基本的には新聞と同じ構成で、ウイークデーの毎日発刊されている。最近では、あまりにも手で配る無料紙が増え、道端に散らばっているという話もニュース報道されたが、それでも、広告=無料紙の創刊はこれからもありそうだ。

 これまで、朝の無料紙メトロが駅構内での販売独占権を持っていたが、この秋から年末にかけて、他の新聞も販売することができるようになるという。

 以下は週刊の「新聞協会報」(9月26日号)に掲載された。

 

 ロンドンで8月末から、二紙の無料紙が相次いで創刊された。夕刊での無料紙の発刊は初めて。通勤客が約五百万人とされるロンドンで、二紙は当初の目標だった四十万部の発行部数をほぼ達成した。しかし今後の見通しに関する評価は分かれている。一方、有料の夕刊紙は、無料紙と読者層の差別化を進めている。

 新たに登場したのは、アソシエーテッド・ニューズペーパーズ社の「ロンドン・ライト」(八月三十日創刊)と、ニューズ・インターナショナル社の「ザ・ロンドン・ペーパー」(九月四日)の二紙。ロンドンの無料紙は朝刊の「メトロ」(約五十七万部、英ABC調べ)、経済情報を中心とする「CITYAM」(約九万部/昨年創刊)と合わせ、四紙となった。

 今回の相次ぐ創刊は、ニューズ社を率いるメディア王のマードック氏が、メトロの成功を見て、夕刊紙市場への参入を表明したことがきっかけ。アソシエーテッド社もかねて夕刊の無料紙発行を考えていた。

 両紙とも、新聞を読まず、テレビやラジオもそれほど視聴せず、ウェブサイトで情報を得る読者層を想定する。広告業界が最も接触を望む層でもある。そうした読者を引きつける媒体が、夕刊紙の市場にはなかった。

 二紙が出そろったのは九月四日。翌日の高級紙各紙は「ロンドンの無料紙、相手を倒すまでの戦い」(タイムズ)、「ロンドンの無料紙戦争は若く、裕福な読者が対象」(フィナンシャル・タイムズ)など、「若者向け」「無料紙戦争」などの見出しを多用した。

 紙面構成を見ると、ロンドン・ライトは字体やレイアウトの面で、同じアソシエーテッド社が発行する有料の夕刊紙イブニング・スタンダードや、タブロイド紙に似ている。一方、ロンドン・ペーパーは色使いや字体がガーディアン紙を思わせ、「斬新」という意見が高級紙に寄せられた読者の意見では目立つ。

 一方、部数減の一途をたどっていたスタンダード(約三十一万部)は、「プレスガゼット」(十五日付号)によると、相次ぐ無料紙の発刊で連日、七千部の落ち込み。八月三十日から一部五十ペンス(約百円)に値上げし、高級紙に価格が近づいた。読者層を世論への影響力が大きい高所得者に拡大し、無料紙と差別化するのが狙いとされる。

 記事の本数は、「プレスガゼット」(同号)によると、前日付の無料二紙(遅版)とスタンダード紙    (早版)とで比べたところ、ライトが八十三本で最多。スタンダード七十八本、ペーパー六十四本と続く。独自取材の記事はペーパーの四十本をはじめ、ライト三十二本、スタンダード二十八本だった。しかし「読み応えでは、スタンダードがベスト」と評している。

 ロンドンの無料紙の今後については、有料紙と両立するという見方と、共倒れになるとの意見が拮抗する。

 ニューズ社は順調に伸びた場合、他の英国内の都市でも発行を考えているという。

by polimediauk | 2006-09-26 14:45 | 新聞業界