小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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ケペル、ローマ法王、デンマーク

 イスラムと西欧の問題(問題があるとして、だが)を考えるとき、「テロの戦争」やアルカイダ、アフガニスタンの戦いやイラク戦争などを自分の中でどことなく関連付けてきたが、フランスのアラブ学者ジル・ケペル氏の「ジハードとフィトナ」(NTT出版)を読んで、改めて、アルカイダなどの一連のテロといかに闘うかという部分と、西欧社会の中のイスラム教徒の処遇などをはっきりと分けて考える必要があることを再発見している。

 ケペル氏の本はオリジナルがフランス語で、英訳版を既に手にしていたが、翻訳のせいなのか、自分の中東問題に関する知識が少ないせいなのか、なかなか最後まで読み進むことができず、そのままになっていた。(このブログを通じて、コメントを残された方が、和訳が出ていることを教えてくれた。やはり日本語だとかなり読みやすい。)

 この中で氏はアルカイダ・オサマ・ビンラディンとNo2のザワヒリ氏が何故米国テロを起こすようになっていくのか、どんな影響があるのかを詳細に書いている。

 そして、未だに米国がアルカイダのテロを根絶できていない、ビンラディンを捕まえていない理由として、目標を間違えている、という指摘があった。つまり、アフガニスタンのタリバン勢力を倒す、イラクのサダム・フセイン政権を崩壊させる、といった、米側の中東での目標があって、この目標達成ために様々な点でリソースが使われたために、ビンラディンを捕まえる、アルカイダ・テロの根絶という面には十分に力がさけなかった、という指摘で、改めて目からウロコの思いがした。

 法王の話に戻るが、一ツ橋大学の内藤教授が彼の考察をブログに書いている。もしご関心がある方は:
http://www.global-news.net/ency/naito/daily/060925/01.html


 法王問題が一段落したと思ったら、今度はドイツの話だ。
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,3-2376967.html

 タイムズの27日付。ドイツであるオペラの上演をしようとしたら、中には預言者ムハンマドの首を切る場面がでてくるので、主催者側が、製作サイドに何らかの危険が生じると困るので、突如、題目を変えてしまった、という。自己検閲だが、ムハンマドの話となると、どうしてもこうなってしまうのだろうか?

 29日から、デンマークに行く予定だ。ムハンマドの問題の風刺画が掲載されたのが、昨年の9月30日だった。果たして、1年後、何が変わったのか、あるいは変わっていないのかを見てきたい。
by polimediauk | 2006-09-28 08:06 | 欧州表現の自由