小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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デビッド・キャメロンって、誰?

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 英エコノミスト(9・30-10・06号)の表紙に、保守党党首デビッド・キャメロン氏が黒いコートを着て、ちょっと「何者?」という感じでこちらを見ている写真がついている。見出しが、「デビッド・キャメロンとは何者か?」。

 非常に人気が出ているキャメロン氏だが、どんな政策をやりたいのかが見えてこない。わざとそうしている、という説もあるが、彼自身がちょっと空っぽなのではないか、という疑念が一部の人々の間(私もそうだが)では、消えない。

 そこで、保守党の党大会が開かれるのにあわせて、エコノミストが彼を取り上げ、アドバイスをしている。(アドバイス、というのもおせっかいそうで、上から見た感じでいやなのだが、それがエコノミストなのだ、といわれるとそうなのだろう。)

 まず総選挙が大体2009年ごろといわれている。ブレア首相は労働党党首の座を来年の夏までに降りることになっているが、それまでに労働党はおそらくブラウン党首になっており、どういう政策にするかなどをかなり固めている可能性が高い。それで、エコのミストの3つアドバイスとはー。

 まず、政府が何をし、何をしないのかに対する自分の考えを描くこと。保守党の伝統では、小さな政府を目指すだろうが、財政が逼迫状態にあるので、減税を誓うことはできない。それでも、将来的には政府の介入はなるべく少なくし、税金は減らす方向にあるようにすることを目指すことを明確にすること。

 国家の介入を減らすには、公共サービスを民間やボランタリー業界に渡していくことで、現在ブレア氏はこれをどんどん進めたいと思っているようだが、ブラウン氏はこれにあまり乗り気ではない。なので、キャメロン氏はこの方針を進めること。民間化が進むことで、国民の選択の幅が広がり、権利も強くなる、と説得する。

 2つめは、白人の男性ばかりというイメージの保守党を変えること。どんな人が議員候補になるのかに関して、自分が支配権を握ること。

 3つめには、外交政策に関して野党党首ではなく、政権党の党首のように振舞うこと。例えば、欧州連合に関しても、保守党の右派は距離を置くことを支持するけれども、欧州連合の大きなグループに属すことで、欧州での影響力を高めること。さらに、反米であると見られているので、これを変えること。9月11日、大規模テロの記念日の前後、キャメロン氏は、アメリカの言いなりになってはいけない、と発言していた。この発言はタイミングが悪すぎた。

 キャメロン氏とブラウン氏が、それぞれ党首として総選挙で戦うとき、これはおもしろいものになる、とエコノミストは言う。両者はまったく違うタイプの政治家だからだ。ブラウン氏は実態がある政治家と言えるが、スタイルはなく、世論調査などで数字を伸ばしにくい。逆に、キャメロン氏は中身よりもスタイル。

 もしキャメロン氏が、スコットランド人、つまりはブラウン氏、のような知的なまじめさを少し増やせば、次の総選挙でよい対抗馬となる、とエコノミストは見ている。

 キャメロン氏のことを、なぜ中身がないと私が、そして多くの人が思うのかというと、別に全員が政策に関して詳しく知っているわけでも、キャメロン氏の一挙一動を見ているわけでもない。判断の基準は、主に発言、スピーチの中身である。何度聞いても、実体部分が見つからないのだ。なんとも不思議な人である、ここまで急に人気が高まってしまったというのは。

 保守党支持の新聞デイリーテレグラフの調査-9月30日―も、多くの人がキャメロン氏には実体がない、と思っているそうである。http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2006/09/30/ntory30.xml
by polimediauk | 2006-10-01 05:03 | 政治とメディア