小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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サダム・フセインの処刑、迫る


サダム・フセインの処刑、迫る_c0016826_845255.jpg イラクのフセイン元大統領の処刑がもうすぐだそうだ。数時間後、あるいは1時間後、という説も出ている。

 英テレビを見ていると、米大統領官邸など、米政権の様子をレポートする特派員の姿が出てくる。米政権側としては、米国がフセインを処刑した、と思わせないようにすること、あくまでイラク人のシステムの中で行われたと思わせること(「思わせる」と書いたが、そうでないので故意にそう思わせる、という意味ではないが)、喜んでいる気分を出さないこと、などに気をつけているそうだ。

 そして、今か今か、と、「処刑が済みました」という一報を待っているところだそうである。

 こうした報道のどこまでが本当かは分からないが(刻一刻と待っているというあたり)、もしおおよその気分を反映しているとしたら、日本人の私は、60数年以上前、日本に落とされた原子爆弾のことと重なって見えてしまった。

 英国では、広島などに原爆が落ちた日のことを、刻一刻と連合国側から見た様子をドラマ化、ドキュメント化したものが結構放映される。日本人としてみると、恐ろしいが、相手方が何を考えていたのかが分かり、これが現実だったんだなとも思った。

 今回の処刑も、「今か今かと待っている感じ」の米政権・・・。

 殺さなければ・処刑しなければ一件が済まない、という状況のイラク。

 処刑の様子は目撃者はいるが(政権指導者、宗教関係者など)、フィルムに撮影されるものの、「公開」ではないそうだ。
by polimediauk | 2006-12-30 08:41 | イラク