小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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ネットの時代 こぼれ話+オータナティブメディア


c0016826_9284140.jpg 先日、「ガーディアン」のComment is freeというブログのスペースに書いている人に会い、いろいろ話を聞いた。テレビ界に長年いたが、新聞業界にも詳しい。今60代に入るか入らないかという年齢の人だが、「もう紙の新聞はだめだ」、「ネットがおもしろくて仕方ない」と目を輝かせて語る。

 ネットの時代、と聞いても、もちろん新しくも何でもないのだが、いろいろ知るうちに私も心が明るくなった。

 まず、彼自身のブログ体験を聞いてみた。ある程度大きなメディアのオンラインのスペースを使ってブログを持っていると、中傷するコメントなどもどんどん載ることもあるだろうし、どうするのか?と聞いてみたら、「基本的にどんな悪口を書かれても気にならない」「読んだ人が、直ぐに、直接意見を表現できるのが、インタラクティブのメディアの醍醐味」と言われた。ただし、編集部の方で一定のコントロールはかけているようだった。

 ガーディアンは紙の読者よりも(約30万―40万)ウエブの読者の方が圧倒的に多く(確か100万単位だったように記憶しているが)、米国から読みに来る人が非常に多い。テレグラフやタイムズ(今月新しくしたばかり)も自社ウエブサイトに力を入れだした。

 ガーディアンの場合、過去記事も含め無料で記事が読めるが、読者登録をすることを奨励しているようだ。テレグラフも、「読者のパネル」のメンバーになると、いつ新聞を買うか、どこに旅行に行くか、など時々、読者調査に参加させられる。参加すると、どこかのデパートで安く買えるなどの「売り」がついている。

 ウエブサイトの内容を工夫し、読者情報をせっせと集める英国の大手新聞だが、私が会った上記の「筋」の人によると、「新聞社側は、せっかく集めたデータをどうしていいか分からないのが現状」だと言う。「どうやってデータを元にしてお金を稼いだらいいのかが、分からず、どこも暗中模索だ」。

 新聞からはちょっと離れるが、アマゾンのサイトではよく「あなたにお勧め」の商品リストが出るが、携帯電話がこれをもっときめ細かにやれば、もうかるのでは、という話をした。例えば、ある人がCDショップの前を通りかかりそうになると、その人の携帯電話にメールが来て、「xxさん、あなたの好きなアーチストのCDが今半額です」などと言う。「広告もここまでやれば、もうかると思うけれど」。

 「もう英国の紙の新聞は将来がない」というのがこの人の結論だった。

 数日後、既存メディアの枠を飛び越える、ネットを使ったオータナティブメディアのおすすめを聞いてみた。

 その1つが18 Doughty Streetというもの。

http://www.18doughtystreet.com/campaigns_hq

 行ってみると、ネットテレビ+ニュース+キャンペーンなどがいろいろ混じって、どこまでが本気なのか、ジョークなのか?という部分もあいまって、なかなか楽しい。既存メディアでは「ポリティカル・コレクトネス」(政治的に正しいことを言う)にどうしても縛られる。例えばそれは時には「新聞の中立性」かもしれない。新聞は一定のグループの肩を持ってはいけない、という縛り。

 このサイトが自由で楽しい感じがするのは、そういう縛りがないからだろう。まだ詳しく見たわけではないが、この自由さ、楽しさ(軽さ)はネットだけに特有・固有ものでは決してないのだろうが、媒体(ネット)と内容が合っているように見える。

 BBC2で毎晩10時半から「ニューズナイト」という番組がある。ニュース解説番組だが、時々ひどくつまらない時がある。今週はあまりおもしろくないと思っていたが、上記のような楽しいネットサイトがあるなら、テレビを見なくなる人もいるに違いない。
by polimediauk | 2007-02-21 09:33 | 新聞業界