英上院議員が直接選挙で選ばれる?

貴族院は、庶民院(=下院)と共に両院制を構成し、下院に再考を促す働きを持つ。議員全員が非選出で上院の定数はないが、現在約700人。世襲貴族、一代貴族、法服貴族、聖職貴族がいる。
一代貴族は上院の任命委員会の推薦か、政党党首による推薦によって決められる。いずれの場合も最終的決定権は首相にある。繰り返しになるが、一代貴族の指名を巡って、労働党が融資の見返りに資金提供者に上院議員職に推薦した、という疑惑がここ1年続いてきた。
聖職貴族とはカンタベリー・ヨークの大主教及び20数人の主教。法服貴族とは12人の常任上訴貴族のことで、司法権の頂点に立つ最高裁判所を成す。法服議員を除き、貴族議員は議員歳費をもらわない。
1999年からブレア政権は上院を改革をしようとして、世襲議員の大幅削減を実施してきた。2003年、政府は、首相から最終決定権を取り去る上院改革案を提出したが、上院議員全てを選挙によって選ぶという項目も入っていたため、反対の声が大きく、実現しなかった。
選挙以外の方法で選ばれる上院の良い点もあるだろうけれど、やはり「民主主義」の国だったら、議員を国民が選ばないのはおかしいような気がしていた。あくまで個人的な意見だが。(・・すると今度は女王をどうするのか、という話になってしまうのかもしれないが。)
今回、下院議員が上院議員を全員直接選挙で選ぶべきだと望んだ結果が出たが、上院でも議論があり、下院での結果がそのまますぐ法律改正になることはないそうだ。それでも、政府は今後の政策にこの結果を反映させるようだ。どんなに古い伝統があっても、「伝統だから」でなく、変えていく、という気持ちがあるのはうらやましい。