小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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スエーデン外相のブログが問題に


 スエーデンの元首相で現在は外務大臣になっているビルト氏のブログが問題化されている、と通信社などが伝えている。情報を出しすぎて外務大臣という職からは不適切ではないか、という批判が出ているという。

 ビルト氏は57歳でスエーデン語のブログを時には日に数回更新しているという。どのように一日を過ごすか、日々の出来事へのコメントなど。世界の時事問題や公務の後、メディア報道への反応などを投稿するというのだ。国民には大人気でこれまでに40万人の訪問者があったとされる。(正確な開始時期は不明だが、「数週間」とされていた。)

 ビルト氏のブログに書かれたコメントが「外務大臣のものとしてなのか、個人的見解なのか、見分けがつかない」として、イエテボリ大学のケント・アスプ教授(ジャーナリズム)は批判しているという。

 ビルト氏自身は「書いているのは私。外務大臣でもある私(が書いている)、ということだ」。

 3月5日付けでは中東の状況に関して書き、パレスチナの政治の将来についてコメント。「パレスチナにある政府はこの問題を解決するつもりがないようだ・・・」。

 昨年9月、社民連合勢力を追い出し、10月成立した右派中道政権にいるビルト氏は、「情報に対する渇望がある。全ての新たな情報テクノロジーを使って、もっとオープンでアクセスしやすい(政権に)するべきだ」。

 ビルト氏をベネズエラのチャべス大統領とこの点では似ている、と見る人もいるそうだ。それは、チャべス大統領が毎週何時間もテレビを通して個人的な見解について話すからだ。

 しかし、政治家には、通常、国会、外務委員会、メディアなどを通して意見を表明する、という伝統的な手段がある。ビルト氏は、こうした場が重要であることを認めながらも、「国会で言ったこと全てがメディアで報道されるわけではない」点を指摘。ブログは「新しいヨーロッパの自由」の一部だ、としている。

http://carlbildt.wordpress.com/

http://www.thelocal.se/6655/20070311/
by polimediauk | 2007-03-12 22:19 | 政治とメディア