従軍慰安婦問題の安倍発言 その2
この慰安婦問題が政治・外交問題のツールと化している部分、今回米下院で証言した女性たちの背景(もし特別な背景があるのだとして)への考慮をまだ自分は十分にしていないように感じているが、私自身の見方はどうなのか?という問いかけを時々頂く。先ほど見つけた村山氏のロイター記事に、一番親近感を感じるので、貼り付けてみたい。
従軍慰安婦問題、政府は道義的責任ある=村山元首相
3月20日17時24分配信 ロイター
3月19日、村山元首相(写真)はロイターとのインタビューで日本政府は従軍慰安婦問題について道義的責任があると述べ、強制連行を示す証拠がないとした安倍首相の発言を暗に批判した(2007年 ロイター/Michael Caronna)
[東京 19日 ロイター] 村山富市元首相(83)は19日、ロイターとのインタビューに応じ、日本政府は従軍慰安婦問題について道義的責任があると述べ、政府または軍による強制連行を示す証拠がないとした安倍晋三首相の発言を暗に批判した。
村山元首相は、日本政府や軍が強制的に連行したか否かの議論は無意味だとした上で「軍が関与して慰安所を設置、監督したのは間違いない。その限りにおいては政府の責任はある」と述べた。元首相は第2次世界大戦を正当化するような政治家の動きにも触れ「アジアの人は、昔の日本に戻るのではと心配している」と話した。
村山元首相はまた、今回の慰安婦問題に対する安倍首相の対応の一部に問題があったとの考えを示した。安倍首相は先に、旧日本軍の関与を認めて慰安婦への謝罪を表明した1993年の「河野談話」を踏襲する一方、日本軍または政府関係者が慰安婦の強制連行に直接かかわった証拠はないと発言している。
さらに、米議会で慰安婦問題に対する日本政府の謝罪を求めた決議案が提出されたのを受けて、安倍首相が「決議が採択されてもあらためて謝罪しない」とした発言については「言う必要がないことを言っている」と述べた。
旧社会党出身の村山元首相は戦後50年の1995年、アジア各国に対し、日本の過去の侵略や植民地支配に関する公式謝罪を行った。
最終更新:3月20日17時24分
読めば読むほど、心にしっくりする気がしてしまう。
それと、戦時中の行為の平和時の判断だが、これは近いところではイラク戦争での米軍や英軍の行動の是非、違法か合法かは、非常に大きな問題になっている。実際に戦闘にかかわった人から見れば、「平時の法律や常識で判断されたくない、裁かれたくない」というのが本音だと思う。さて慰安婦はどうなるのか?あまり論理的な説明ができないが、やはり個人的には同情心は私自身、大きい。
(追記)
みなさま、いろいろコメントありがとうございました。
今回、しみじみ思ったのは、慰安婦問題に関して、西欧・欧米の見方に対し、きちっとした、まっとうなかつ多彩な反論が存在することでした。
歴史的事件の判断は、それこそ戦争が起きるぐらい、国(あるいは人)によって解釈が異なるので、最後は「どれを自分は信じるのか」「どの見方を自分はとるのか」になってしまうのではないかと思っています。
私は、この問題に限らず、犠牲者、少数者、人権を虐げられたと思われる人にかたむいたスタンスから見ています。
慰安婦問題に関して、英国で誰かに聞かれて何らかのコメントを出すことは近い将来あると思うので、整理してみたいと思っています。
今のところは、米下院で証言した個人数人だけに限らず、一般的に「慰安婦」寄りのスタンスです。
現在外交問題にまでなっているということは、日本側に相手の気持ちを十分に汲み取れない部分があったのではないか、という思いが消えません。偏っている考えかもしれませんが。
安倍首相のコメントは、国内の世論(一部かもしれないし、大部分かもしれない)を代弁しているところもある、とすると、これはどういうことなのか?と考えています。
慰安婦問題に限らず、日本は戦時の過去ときっちり決別できていないのではないかと思います。
昨日、ロンドン市長がガーディアン紙上で200年前の奴隷制度を謝罪しました。きっと、謝罪しても彼はあまり失うものがないからそう言ったのかもしれません。政治的意図はもちろんあるでしょうけれども、「200年前のことに謝罪する必要はない」という人もたくさんいます。ブレア英首相は、たしか、アイルランドのじゃがいも飢饉で英国が十分にヘルプできなかったなどということで、謝罪したように記憶しています。
「許し」ということを最近良く考えるのですが、ちょっと離れますが、相手側に後悔の念があって初めて、しいたげられた方は許すことができるのではないか、と北アイルランドの話やキリスト教会の取材で考えさせられます。
いずれにせよ、慰安婦問題と同時に、今現在様々な場所で様々な苦しい目にあっている人がいることが心に気にかかっています。(東欧から来て売春婦として売られた人など。)