小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


by polimediauk

北アイルランド、テレグラフ


 北アイルランドの自治政府は2002年から停止状態になってきたが、今日、これまで対立してきた2大政党が、5月からの再開に合意し、会見をした。シンフェイン党(カトリック系)とDUP党(プロテスタント系)の政党の党首が同じ場所に並んだのは、公的には初めてかもしれない。

 画期的だが、5月に再開するという点に不信感、不安感を感じる人も多いようだ。BBCウエブサイトの読者の声など。何故今すぐでなく、5月なのか、と。

 5月までに何がおきるかまだ分からない、と思っている人が多いのではないか。私もどきどきだ。

 ところで、今日、新しくなったテレグラフのオフィスを見せてもらった。ロンドン・ビクトリア駅から歩いてすごく近い。2分?ガラス張りで光りがよく入る。

 中はちょっとBBCテレビのニュース部門みたいというか、ブルームバーグのオフィスみたいというか。だだっ広い広間に、机が環状に配置されている。自転車の車輪を思い出してほしい。真ん中のハブ部分があって、放射線状に机がある。

 この「ハブ」は、実際、社内でもハブと読んでいるそうだ。編集会議の時に使うので、長い机と椅子が回りに置かれている。普段は誰も座ってなくて、会議のあるときに集まる。といっても、会議室は別にある。

 そこで、編集会議用にここに集まることを「ハブる」と呼んでいる。ちょっとジョークというか、皮肉っぽく使うという。自分で自分を笑う、というか。「ハブって名づけたりして、ちょっと馬鹿みたいだね」と。

 中はお昼頃だったせいか、結構シーンとしている。天井からテレビのモニターがぶら下がっていて、音は出ていないけれど、CNNなりBBCなり、24時間ニュースの画面が映っている。壁の一面にも、いろいろなテレビ局のチャンネルのどでかい画面が映し出されている。本当に、「でかいテレビ局の編集室」という印象だ。ミニ・スタジオもある。今や、記者はただ新聞記事を書くだけでなく、ニュースをポッドキャストで流したり、テレビカメラに向かって話しリ、ブログを書いたりと、マルチ・タスクを要求されるのだという。映像はウエブを通じて見れる。

 編集長の部屋は、他の新聞の編集長の部屋のように、自分の机とミーティング用の長いテーブル。結構がらんとしていた。

 中の様子はテレビ局のニュースルームに似ている、と書いたが、1つ目だって違うところは、着ているものだ。ほとんどがスーツ姿。特に男性たちが何とネクタイを締めている。テレビ局ではジーンズなどかなりくだけているのではないか。自分にとって、結構驚きだった。前にインディペンデントのオフィスを見たときも、ネクタイは編集長と数人だけだったような気がする。

 そして、案内をしてもらった人に、軽い気持ちで、「どう、働き心地は?」と聞くと、結構厳しい答えが返ってきた。頭を整理して、明日以降、書きたい。(続く。)
by polimediauk | 2007-03-27 00:33 | 新聞業界