体験談を売る英兵たち イラン拘束後
昨晩、英国防省が、2週間近くイランで拘束されていた英兵たちが体験談をメディアに売ることを許可した件で、驚いた件を書いた。
今朝、日曜紙の報道では、既に15人の中の一人、女性兵士が、ITVという民間テレビと「ある新聞」に体験談を10万ポンド以上(約2500万以上)で売ったそうである。こういう具体例が進んでいたから、国防省が突如「許可」したのかもしれなかった。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/6536203.stm
さすがに批判が出てきたようだ。
野党保守党のリアム・フォックス氏は、拉致を心配して見守ってきた人々には「体験談を売る行為が何か威厳のないものに映るだろうし、私たちが兵士に期待する非常に高い水準以下」に相当する行為のように見える、と語る。
サンデータイムズによると、15人は、得た報酬の10%は何らかの(おそらくチャリティー)基金のためにとっておき、残りはそれぞれが受け取ることに合意した、と伝えている。(本当にそうかどうかは不明だけれども。)
かつて英外務省の高官だったクレイグ・マレー氏はBBCに対し、「通常に働いて得る金額の数年分を拘束したためにもらえた」と見る人が出てくる、と警告。
今英国はイースター休暇だが、週明け以降、英兵側+支援者側の反論も出てくることだろう。15人が体験談を売ることを、英国内で止める人はいない。誰もいないのだ。「体験談を取材されるのは場合によってはいいとしても、お金はもらうな」と言う親も、いそうにない。嘆かわしいがこれが現実だ。
以下、独断と偏見だが、何故こういうことが許されるのか?それは、一つにはまず新聞やメディアの競争が激しく、スクープには巨額のお金を払う、というパターンがある。有名人のかつての恋人や英王室に働いていた人(後者には秘密を守る書類に署名しているはずなのだが)も、よく体験を新聞に売る。もう1つは、「これは道徳的に正しくないから、してはいけない」ということを、言う人が少なく、もし言ったら、支持を得られない。また、お金をもうけること、金持ちであること=エライという考えが定着してきている。それと、やや重なるが、大人に威厳がない。威厳のある親・大人というのは、受け入れられない。子供・若者中心になりつつある。この部分は本当に私見だけれど、数年英国に住んでみれば、実感できる。