小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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米オルタナティブ・メディアの「デモクラシーナウ」


 ウイリアム英皇太子とガールフレンドのケイト・ミドルトンさんが「別れた」というのが今のところ、こちらではトップニュースになっている。サンが報道したようで、BBCの方は分かれた理由を、あまりにもメディア報道が過熱したのが一因、とされている。詳しいことは当人同士でないと分からないし、本当に別れたのかどうかも不明だけれども。これ自体も過熱報道の一環である、ということはないのか、どうか。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/6554841.stm


 一方、米国のオルタナティブ・メディアで「デモクラシーナウ」というのがあり、これの日本語版が最近始まった。関係者の知人からリリースが送られてきていたので、そのままだが、転載したい。衛星&ケーブル局の朝日ニュースターで、毎月の第1・3 ・5土曜の夜9:00から、一時間の枠で番組が放送されているという。

http://democracynow.jp/


「デモクラシー・ナウ!」を日本語でお届けします

 ニューヨークのダウンタウンから毎朝発信されている一時間の報道番組「デモクラシー・ナウ!」は、地域ケーブルのパブリック・アクセス・チャンネルやコミュニティ・ラジオ、衛星放送などさまざまな形態の非営利公共放送が協力した全国配信ネットワークのパイオニアであり、北米500局を結ぶ最大のシンジケートを形成しています。企業スポンサーをいっさい受けつけず、あくまで市民の側にたち、民衆の目線から日々の重要な出来事を取り上げているのが特徴です。

 特に力を入れているのは、「War&Peaceレポート」と呼ばれる反戦ニュースです。アメリカの外交政策による直接の被害を受けている世界各地の民衆の声、フリーの国際ジャーナリストによる報道、市民運動や平和活動の担い手、アーティスト、学者、文化人など、アメリカの商業メディアがほとんど取り上げない人々の主張や視点を紹介しています。また番組に登場する人々が、真っ向から対立する立場を掲げて真剣な討論を展開する場面もしばしばです。

 この番組は1995年にパシフィカ・ラジオの選挙報道番組として、同局生え抜きのジャーナリスト、エイミー・グッドマンを中心に始まりました。その後パシフィカの内紛にまきこまれて独立し、チャイナタウンのDCTV(ダウンタウン・コミュニティ・TVセンター)に拠点を移し、2000年からはテレビ番組となりました。9/11以降の好戦的な世論と政府批判の自粛の中で一貫して反戦姿勢をくずさず、逆に大きな支持を獲得していきました。いま日本では「戦争」に対する考え方を大きく切り替え、国家のあり方を国際社会においても国内体制においても大きく変化させようという動きが着実に進んでいます。私たち一人一人の責任が重く問われ、じゅうぶんな知識と熟慮を経た行動が求められるこの重大時局において、デモクラシー・ナウ!の揺ぎない反戦のメッセージを伝え、そのスピリットを感じ取っていただければと願っています。

              ***

 私たちは、この番組を日本に紹介したいと願い、昨年秋から具体的に動き始めました。12月にNYの本部を訪れ基本的な話し合いをした後、日本でこれをどのように実現させていくか、試行錯誤を繰り返してきました。その過程で、さまざまな方々に相談し、アドバイスをいただき、協力を約束していただきましが、ようやくその成果を具体的に示すことができるようになりました。

 4月から、わたしたちのデモクラシー・ナウ!の日本語サイトが正式スタートしました。http://democracynow.jp/

 ここには、毎日のニュースのトップページが日本語で表示され、ニュースサマリーのヘッドラインと個別トピックスの紹介が載ります。ここを覗いていただければ、ニューヨークの市民運動や独立メディアに携わる人々が、今どんな事件に注目しているかが瞬時にわかります。それと並行して、重要なトピックスの一部を取り上げて字幕をつけ、動画配信を行なっていきます。
http://democracynow.jp/stream/
 第一回はジミー・カーターとパレスチナ問題、紛争解決への新たな展望についてのトピックスを載せました。今後は毎週末に少なくとも30分のトピックスを加えていきます。

 ウェブサイトのほかに、放送も始まります。

4月7日土曜日から、衛星&ケーブル局の朝日ニュースターで、毎月の第1・3 ・5土曜の夜9:00から、一時間の枠で番組を放送します。
http://asahi-newstar.com/program/democracy/

 また、インターネット・テレビ放送を行なっているOurPlanet-TVでも、隔月に一つのトピックスを取り上げてくださいます。
http://www.ourplanet-tv.org/


 上のサイトを開いてみて、少し見ただけの単なる感想だが、米国ではメインのメディアでは強い政府批判の記事や、大企業批判の記事があまり表立ってでない、という前提があるのだろう(か)。政府側や大企業が新聞社を脅すというか、一定の記事は出ないような無言かもしれない圧力がある、ということだろう(か)。

 そういう意味で、米国のオルタナティブメディアは強い政治的な意味もあるのだろう(か)。

 英国ではそういった感じはあまり少ない。これは私の滞英年数がまだ浅いせいもあるかもしれない。テレビ・新聞・ネットで、ありとあらゆる論点が出ているような気がする。特定の大企業の無言あるいは有言の圧力のおかげで、ある記事が大手新聞に出ない、ということもないように思う。政府に都合の悪い記事は大手メディアに満載だ。

 ただ、常にどこの国、メディアでもそうだろうけれども、その国あるいは文化の特定の考え方、視点があって、何がトピックになるのかがずい分変わる。そういう意味で、「出ていない論点」がある可能性もある。英国の大手メディアは基本的には言論の自由+お金が原理ではないかと思う。あるトピックを扱うことで、発行部数や視聴者が増えるのかどうか、言論の自由の観点から必要なのかどうか。
by polimediauk | 2007-04-14 19:41 | ネット業界