小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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ロシア、認識のギャップ 雑感


elmoiy さんに教えていただいた、ロシアのプーチン大統領に関するタイムズ記事を読んでみた。Putin the Terrible, we love you という27日付の記事で、日本語にされている方もいる。(以下の画面の下にスクロールして見つかる記事のようだ。)

  ttp://blog.goo.ne.jp/kitaryunosuke/d/20070527
  Putin the Terrible, we love you
  (恐怖のプーチン、愛してるぜ)
   Mark Franchetti
   Times:May 27, 2007


 読んでみて、おもしろくて感嘆!だった。

 西欧のプーチン観とロシア国民のプーチン観がいかに違うかを書いてある。去年、元ロシア人スパイがロンドンで殺された件にからめて。

 常々、英語だけでプーチン+ロシアのことを読むと、いつも否定的で、プーチン=おどろおどろしいく怖いやつ、というイメージがある。表現の自由の侵害、チェチェン戦争などなど、「黒」的な印象を私は持っているけれども、それでも「全部が悪い」ことはないのだろうなあとうすうす感じていたのが、この記事を読んですっきり、という感じである。

 実際に誰が元スパイを毒殺したのか、私もさっぱり分からないが、それでも、「100%の悪」と英語圏のメディアが描くものには眉唾が必要である。

 プーチンに限らず、いくつか、というかちょくちょく、西側のあるイメージが実際とはずい分かけ離れているのではないか、と思うことに遭遇する。やはり、「これはこういうもの」と凝り固まって考えてしまうと、なかなかそれから抜けられないのだろう。しかし、西欧の考え=全世界共通の考えとして、英語媒体だけに注目するとなりがちな部分があり、気をつけたいと思っている。私にとっては、今熱を入れているトルコがそうで、トルコも英字紙だけを見ると、どことなく「変な国」というニュアンスがあって、これも眉唾だなあと思っている。

 ロシアに戻ると、ゲイの運動家と言っていいのだろうか、ピーター・タッチェルという英国人がいて、先日、モスクワのゲイ運動のデモの途中で、ネオナチの男性たちやキリスト教の牧師などに滅多打ちにされた。(本人の弁は以下のアドレスで。)

 http://www.guardian.co.uk/g2/story/0,,2089964,00.html 

 これもまたロシアの現実なんだろうなあと思う。

 「言論の自由」、「民主主義」という概念は、結構現実の世界では実現が難しかったりする。・・とこの頃思う。言論の自由が弾圧されると、メディアは私も含め怒り、「けしからん!」という記事を書く(私も書く)。しかし、実際、言うのは簡単だが実行は難しい。

 英国や日本ほどの言論の自由があるだけでもラッキーなのかもしれない。言論の自由度が少ない国は、ゴマンとあるのだから。
by polimediauk | 2007-05-30 02:53 | 政治とメディア