ブラウン新首相誕生

ブラウン新首相がいよいよ、誕生した。
午後からロンドン中央部に出かけ、帰りの電車で夕刊の「イブニング・スタンダード」紙・最終版を読むと、首相交代の一部始終が分かる。ブレア首相(当時)が議会で最後の「質問時間・クエスチョンタイム」という枠で議員からの質疑応答にどのように応じたか、その後官邸に戻ってスタッフにさよならを言い、官邸のドアの前で家族一緒に並び(各社が写真を撮り)、バッキンガム宮殿に行って、エリザベス女王が首相の職を解き、今度は代わりにブラウン氏が女王から連絡をもらって宮殿に行き、組閣を命じられる、という流れだ。フリーペーパーは締切時間のせいもあってか、読み応えに大きな差が出たように思った。やっぱり、有料新聞はいい。これぞ新聞、という感じがした。
今日はブレア氏とブラウン氏にとって、引越しの日でもあった。
首相官邸・住居は「ダウニング街10番」と呼ばれ、ドアに「10」と番号が入っている。お隣は「11」という番号が入っているが、こちらは従来は財務相の事務所と住居になる。この「10」の住居部分は、お隣の「11番」より狭いようだ。
そこで、10年前はブラウン氏は独身で、ブレア氏は子供が3人(今は4人)と家族数が多かったので、ブラウン氏が「10」に、ブレア一家が「11」に住んでいたと聞く。もちろん、オフィスは「10」(首相)、「11」(財務相)となっていたようだが。財務相だったブラウン氏は、首相就任で、名実ともに「10」の住人となった。ブレア家は、ロンドン市内のアパートに移っていった。
昼のブレア氏最後の「クエスチョン・タイム」だが、質問に答える前に、まず厳しい面持ちのブレア氏が、戦争で亡くなった人を悼む表現で始まる短い演説が最初になった。何となく、みんなシーンとして聞いていた。一部で、「アイアム・ソーリー」と言ったので、一瞬、イラク戦争のことを謝っているのかと思ったら、違った。犠牲が出たこと、現在のような状況に陥ったことを、残念だったと言っただけだった。
「タイム」が終わると、出席議員全員が拍手。感動的な幕切れとなった。
ブラウン新首相の官邸前でのスピーチもなかなか新鮮だった。「変化を起こしたい」、「信頼感を取り戻したい」などと述べた。いわゆるハネムーン・ピリオドなのかもしれないが、言葉が胸に響く。ひょっとしたら、何か新しいことが、より良い変化が起きるのかなと期待がふくらむ。午後には、日本では文部省(今は名称が新しくなったろうけれども)にあたる、文化スポーツ省を分割する予定だという噂が。1997年、英中央銀行を政府から突如独立させたことを考えると、大胆な、新味のある政策を出してくることは確実だ。
誰がトップになるにせよ、より良い未来になるといいが。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/6245682.stm
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/6743875.stm
テレビの街頭インタビューで、新首相に期待するものを聞かれて、よく挙がっているのがイラクからの早期撤退、教育問題、健康保健サービスの向上など。
英国に住んで思うのは、問題はシステム・制度ではなくて、人のような気がする。サービス面にしろ、教育にしろ、反社会的行為にしろ・・・。どうも今一歩、勤労意欲が低いような、人を責めてばかりいるような、ここぞ、という時にふんばりがきかないような・・・。ブラウン氏が国民の意識を変えることができるのか?私も楽しみながら追ってみたい。




