小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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BBCが英女王に謝罪 

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         (アニー・リーボビッツさんの撮影写真)

 何度聞いても、変だなあという感じる話が起きている。BBCは英女王に対し、謝罪をしたそうである。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/6294472.stm

 何が起きたかというと(これまでの報道によると)、BBCは英女王の仕事振りに関して、長いドキュメンタリー番組を作っているそうである。この季節になると、「秋の新作品・ラインアップ」をテレビ局は発表する。BBCのラインアップの1つが、これだった。

 そして、予告編をメディアに見せたそうだ。

 ところが、このドキュメンタリー番組の予告映像の中に、女王とアニー・レイボビッツという著名写真家のやりとりの場面があった。(もう既に写真は撮影済みで、発表された。)ある場面で、写真家が女王に、王冠を取った方がきれいに見える、と言う。「そのローブ(長衣)がとっても・・・」(素晴らしいから、とつながるところだったのを)、女王が、自分の着ているものを指して、「それほどドレッシーじゃないでしょう。どう思う?」と聞く。

 ここから突然次の場面になる。そこでは、廊下を女王が急ぎ足で歩いており、「私は何も変えないわよ。こんなドレスはもう着すぎたわ、(ご愁傷様)」という。

 すると、まるで、写真家が「王冠を取った方が・・・」といわれた事に怒り、部屋をさっさか出て行ってしまった・・・かのように見える、というわけである。

 ところが、BBCによると、廊下を歩く場面は、写真家との会話の前に撮影されたというのである!

 製作会社とBBCは謝罪し、「外に出すはずの映像ではなかった」などと説明。

 それにしても、外に出るはずのないものが何故出たのか、クリップを作った人が番組全体を作った人とは違う可能性もあるが、それでも、番組を作った人、製作に加わった人が全くクリップを事前に見なかったのかどうか。番組の製作者なら、すぐにぴんとくるはずだ、全く違う意味になっていることを。全くおかしい・・・。

 さらに、子供用番組で「ブルーピーター」というのがあるのだが、この番組の中で、視聴者に電話をかけてもらって、何かの勝利者を決める、というコーナーがあったそうだ。

 そこで、電話線か何か、技術上の理由があって、視聴者からの電話を受けられなくなったそうだ。そこで、スタジオにたまたま見学に来ていた子供に、電話をかけたことにしてもらったそうだ・・・。

 これが明らかになって、BBCは通信団体オフコムというところに、5万ポンド(約1、200万円ほどか)の罰金を課された。

 これもひどい。

 技術上の理由で失敗したら、「失敗した」と言ってもいいだろうに。視聴者をあざむいたことになる。特に子供向け番組だったので、罪が重いという部分もあっただろう。

 王室の話に戻ると、「本当に手違いだけだったのか?」という疑問が残る。真相は最後まで明らかにならないかもしれない。今晩、番組のプロデューサーがテレビに出て、説明するそうだ。おそらく、謝罪よりも、いかに「手違いが自分たちの責任ではなかったか、いかに十全をつくしたか、いかに事態を収束させたか」に力点を置いた弁解になるだろう。

 「ブルーピーター」の時もそうだったからだ。オフコムの説明を十分に読んでいないが、前にこれが発覚したとき、BBC側は「何故そうなったのかが分からない・説明できない」、「事態が発覚してからはガイドラインに沿った処理を行なった」「謝罪した」などなど。なるべく「もう終わったことさ」にしたい感じが伝わってきた。

 王室の件+ブルーピーターの件、BBCは一体どうしたのか?と思ってしまう。

 王室の件で私が猜疑心があるのは、BBCに限らず、英メディアでは王室に対してシニカルな態度、批判的な態度をとるジャーナリストが多い。コメディアンもそうだ。批判すると「受ける」からだ。「左寄り」なのだ。

 BBCの「左寄り」はこれまでにも頻繁に批判されてきたので、王室の件は、「確信犯?」的な思いが消えない。

 夕方のニュースでは、「BBCは視聴率を上げよう、という部分に力が入りすぎている。民放ではないことを自覚してほしい。質の高い番組を作ることだけに集中して欲しい」と、誰かが言っていたが。

by polimediauk | 2007-07-13 05:48 | 放送業界