小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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英テレグラフのテレビ


 ユーチューブなどを頻繁に利用している方にとっては珍しくもなんともないのだろうが、テレグラフ紙が先週金曜日から、ウエブサイト上で動画クリップの提供を本格的に開始した。BBCやチャンネル4などがやっている、「ビデオ・オンディマンド」サービスなのだが、「テレグラフ・ニューズ・ナウ」と呼ばれ、紙媒体では「テレグラフのテレビ」ということで紹介された。

 テレビ局のオンディマンドサービスとは違って、それぞれのクリップは7分ほどで短い。しかし、特に何かのソフトウエアをダウンロードする必要はなく、サイトから非常に簡単に見ることができる。テレビ局のサービスを利用する時の待ち時間や仰々しさ(最初に登録し、ソフトウエアをダウンロードし・・・)がなく、「こういうのが欲しかった」という思いがする。

 テレグラフの場合、「ニューズ・ウィズ・ビューズ」、つまり、単なる「客観的な」ニュースではなく、テレグラフ記者・コラムニストの一定の視点を持ったクリップになるようだ。サイトのトップから「テレグラフ・TV」をクリックすると見れる。http://www.telegraph.co.uk/

 画像処理やテクニカルな部分は民放ITNが協力をしているとあって、画像の質も良いように見える。サイトのトップがテレビのコーナーというのも、戦略的意味があるのだろう。

 週末は、いかにテレグラフの書評担当者(髪はボサボサ、スタイルに一切興味がない)が洗練されていくかをつづったクリップがあり、おもしろく見た。ガーディアンのサイトでもクリップが多数用意されているが、前に「チーズの作り方」というのがあって、これも楽しく見た。

  テレグラフの紙媒体の購読者は高齢と聞く(平均年齢が五十代-六十代とか)。普段サイトで動画などを見ない人をテレグラフテレビで引き込む、という狙いもあるのだろう。サイトにはアーカイブのクリップもあり、「この日はどんな日だったか」を開くと、第1次世界大戦までさかのぼったクリップが用意されているという。

by polimediauk | 2007-09-10 17:11 | 新聞業界