小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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スウェーデン風刺画 画家が避難


 スウェーデンの風刺画事件は、17日、画家が自宅を出て、避難する事態に発展した。15日、「アブ・オマル・アルバグダディ」なる人物が、イスラム教の預言者ムハンマドを犬に見立てたイラストを描いた画家を殺害した者には10万ドル、イラストを掲載した新聞の編集者を殺害すれば5万ドルの賞金を出す、という殺害予告をネット上で出したことを受けての動きだ。

 画家のラース・ビルクス氏は、ロイターの電話取材に答え、スウェーデンの諜報機関SAPOから連絡を受けて、身を隠すようにいわれたという。

 ボルボ、エリクソン、イケアなどスウェーデン企業にも脅しが出ている。

 このイラスト・風刺画そのものは、フランス24のテレビ局のサイト上でも見れる。
http://www.france24.com/france24Public/en/news/world/20070916-swedish-cartoon-row-france24-exclusive-prophet-mohammad-editor-.html
〔画面右端のイラストをクリック〕

 フランス24によると、殺害予告者はアルカイダのイラク支部(?)の自称トップ。以下はインタビューの一部。

―この殺害予告をまともに受け止めているか?
アルフ・ヨハンセン編集長(ネリケス・アレハンダ紙):そうしている。自分の命に値段がつくことはしょっちゅうはない。

―今、身を隠しているのか?
編集長:隠していない。

―デンマークでも風刺画事件があった。何故このような風刺画を自分の新聞で掲載したのか?
編集長:今回は違うだろうと思っていた。多くのスウェーデンの新聞はこの風刺画を再掲載しているし、デンマークのような事態ではない。スウェーデンの外国人人口とスウェーデン人の間の雰囲気は、デンマークとは大分違う。このような風刺画を掲載しても、問題はないだろうと信じていた。

―掲載後、このような動きになると予想したか?
編集長:もちろん、こうなるとは思わなかった。他の新聞も掲載し、何の反応もなかった。地元では反応があり、それが国際的に広がった。それでも、スウェーデンのイスラム教徒たちは非常によく振舞い、殺害予告に反対し、私たちを支持してくれている。この点は非常に重要だと思う。

***

 一方、スウェーデンの英字紙「ローカル」によると、欧州のムスリム団体は今回の殺害予告を一斉に非難している。

 また、タイムズ紙17日付けによると、これまでにエジプト、イラン、パキスタンがスウェーデン政府に抗議を申し立てた。アフガニスタンやヨルダンの宗教指導者も風刺画を避難した。

 日刊紙Dagens Nyheterは風刺画を再掲載。 Svenska Dagbladet紙は、言論の自由を維持することを読者に呼びかけた。「表現の自由はメディアやジャーナリストの特権ではない。市民が様々な印象、無数の情報源、インスピレーション、自分たち自身の結論を導く可能性を持つための保証だ」と書いている。

by polimediauk | 2007-09-18 16:50 | 欧州表現の自由