小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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WSJのサイト、無料化へ?

 新聞の価格がまたトピックになっている。米経済紙ウオール・ストリート・ジャーナル(WSJ)を所有するダウ・ジョーンズ社を買収するルパート・マードック氏が、WSJのウエブサイトの無料化を示唆しているからだ。

 メディア王マードック氏は、買収処理が終了する12月以降、WSJのサイトを無料化する可能性を、先月頃から述べだしている。

 WSJのサイト購読料は年間99ドル。マードック氏は、無料化が読者及び収入の増加に結びつくと見ている。「もしサイトを無料にしたら、新聞に損害を与えるだろうか?そうは思わない。無料化が将来の道だ」(18日の発言)。この発言は、ニューヨークタイムズ紙がプレミアムサービスとして有料化してきたサイトの購読料を無料化した時になされ、米英の新聞界に衝撃が走った、というわけだ。

 ニューヨークタイムズは過去記事や人気のある論説の記事が読める「タイムズセレクト」というサービスを有料にし、毎月7・95ドルを購読料として取っていた。NYタイムズ・コムの責任者(ガーディアン19日付け)によると、グーグルやヤフーのニュースサイトでNYタイムズの記事を読み、タイムズのサイトに飛んでくる読者が多いことに気づいたという。全サイトが無料だと、広告収入がもっと大きくなると判断した。NYタイムズのコラムニストたちは、無料で記事がサイトで読めるよう経営陣側にお願いしていた経緯があり、2年前にタイムズが一部有料化に踏み切ってから、有料購読者は22万7000人増え、年間1000万ドルの収入を得ていたという。

 米大手新聞がサイトの購読無料化へ踏み切る流れができると、困ったのはファイナンシャル・タイムズだ。オブザーバー紙の23日付によると、FTは今のところ年間98・99ポンド(約2万―2万5千円)のサイト購読料を取っており(注:一部は無料でも読めるが)、10万人の購読者がいる。どんどん無料の新聞サイトが増えると、FTにも購読料をなくするように、という圧力が高まるのではないか、という見方だ。

 「マデリンちゃん」事件の調査で、久しぶりにサン紙を買った。何と、20ペンス(40円―45円)になっているのに驚いた。通常、大衆紙は35―40ペンス、夕刊紙イブニング・ポストも50ペンスであるので、格別に安い。マードック氏が80年代にしかけた新聞価格競争の再来なのか?

ガーディアン
http://business.guardian.co.uk/story/0,,2172101,00.html
マードック氏プロフィール、BBC
http://news.bbc.co.uk/1/hi/business/6925738.stm
by polimediauk | 2007-09-25 20:21 | 新聞業界