英総選挙の噂 その2
総選挙が近い、という話で最近は持ちきりになってきた。明日から保守党の党大会が始まり、週明けにかけて、あるいは党大会開会中に(あるいは閉会後に)、ブラウン首相が選挙をやる、と宣言するのではないかと言われている。
今のところ、すぐやるとしたら10月25日、11月1日、11月8日の可能性がある。11月説がやや真実味を帯びてきたようだ。
近頃特に、与党・労働党と野党・保守党は政策が似通ってきている。第2野党自由民主党も健闘はしているものの、実質的には2大政党制が続いている。
しかし、「政策が似通っている」うんぬんどころか、現国会議員(及び議員事務所で働く人々)+上院議員はすべて、1つの「政治クラス」に所属し、様々な不当な恩恵に授かり、権力を自分たちのクラスの中だけで維持しようとしているー。と見ているのが、英ジャーナリスト、ピーター・オボーン氏だ。彼の最新作「ザ・トライアンフ・オブ・ポリティカル・クラス」によると、である。
英国の政治家には、日本で言うところの「2世議員」は非常に少ない。著名な家系をあげるとするとチャーチル家や現在環境大臣のヒラリー・ベン氏のベン家が思い浮かぶぐらいだ。選挙区が親と子供では異なることがしょっちゅうで、「地盤」ができにくい上に、党の公認候補になるまでの選出過程が非常に厳しい。本人の実力が鍵を握る。
議員選出は実力主義ではあるのだが、下院議員全体の経歴を見ると、白人・男性・ミドルクラスが多い。また、議員になる前に一端働いてから、というよりも、大学卒業後、政策シンクタンクや議員秘書など、政治がらみの職にストレートに就く人も増えている。政治家が職業化しているのだ。つまり、一種のキャリア、であるのだ、若くて頭のいい人にとっては。「人のために尽くそう」と考えて議員になる人はいったいどれほどいるのかな、と思う。
オボーン氏は、先週の月曜日、チャンネル4「ディスパッチ」で、いかに議員たちが出費の明細を公開しなくて良いように闘ったかをリポートした。見ていて、おそろしくなる思いがした。女王様がいて、世襲貴族は大幅に減ったとは言え、未だに「一代貴族」(=上院議員)を任命する国(何故、人の上に人を作るのか??)、つまりは階級性を維持する国ならではだと思った。
1960年代以降、「ミドル・クラス」の範囲は大きく広がっていったとはいえ、「クラスなくして英国なし」の状況は変わっていないとしみじみ思う。
・・・と考えると、総選挙もやや色あせて見えるのだが・・・。