小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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FTサイト、無料化分増やす+日本

 2週間ほど前に、ニューヨークタイムズのウエブサイトが、コラムニストの記事やアーカイブ記事を無料化した報道があった。FTのサイトは、ビジネス以外のニュースや分析記事などが無料で、24時間後には購読者のみが読めるようになっていたが、無料化部分を拡大することになったようだ。

 ガーディアンの1日付の報道によると、本格的な開始は10月中旬から。最初の5本は無料で、簡単な登録を済ませると、月に30本が無料になる。(やや分かりにくいが、一日前の分も含めた過去記事などが前は無料では読めないようになっていたが、登録すると、最大限月間30本まで読めるようになった。)

 FTのチーフ・エグゼキュティブによると、「読者が選ぶ(どの記事を読むか・無料か有料か)」。

 また、デザインも刷新し、新しいマーケット頁を作り、ブロガーやビデオの数を増やす。

 FTの固定ユーザーはどんどん増えているそうで、今年は前年に比べて50%以上増加。今年8月までの3ヶ月で固定ユーザーは650万人、ページ・ビューは4300万。サイトの有料購読者は10万1000人だ。ちなみに、ニューヨークタイムズは22万7000人、ウオールストリートジャーナルは98万3000人。

 FTのサイトは現在年間99ポンド(約2万円)の購読料を科しており、サイトからの収入は非公式だが700万から900万ポンドと言われている。

 今回の動きの効果だが、シラキュース大学の教授の話(ガーディアン)だと、「FTを使いたいと思っても紙媒体にアクセスできず、かといって、どれぐらい使うことになるか分からないので有料購読者になっていなかった人がたくさんいる」として、評価している。

 FTは有料化をすてたわけではない。FTチーフエグゼキュティブは、「読者は、FTのジャーナリズムに、適正な価格を払う用意があることを確信している」と語っている。

―日本とビルマ・ミャンマー

 日本政府が抗議をしている話が週末から週明けの英新聞に載った。2国間の関係が気になっていたら、ガーディアン金曜日付けによると、「日本は、2003年、アン・サン・スーチーさんが拘束されてから、ビルマに対しての新たな援助を凍結してきた。しかし、救急医療プロジェクトには資金を提供しており、研修や技術移転を続けている。2001年にはビルマへの援助は100億円だったが、近年は30億円ほどに減少している。ビルマには615人の日本人と74の日本企業がある」とあった。

by polimediauk | 2007-10-01 18:38 | 新聞業界