小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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日本の新聞業界にもネットの新風

日本の新聞業界にいよいよ大きな動きが出てきたか?と思わせたのが、朝日、日経、読売がネットと販売で協力する、というニュースだった。3社を合わせたポータルサイト作るのかはまだ決まっていないようで、ネット面で協力と言っても、未知の部分も多いようだ。来年から実行するのに、詳細が決まっていないようだとしたら、大丈夫だろうか。

 ・・というニュースを新しくなった産経ネットで知った。
 
 産経は9月末、福田政権の登場とともに、MSNと協力してサイトを大幅に変えた。一種の雑誌のような紙面でもあるが、ネット媒体であることを強みとして思い切って変えた感じがあるのに対し、朝日・読売・日経は何となく、「余儀なく・・」という感じがある。

 産経分析記事によると、

http://sankei.jp.msn.com/economy/it/071002/its0710021516000-n2.htm

(朝日・日経・読売の)「『詳細は紙面で』という紙媒体優先の姿勢と」、(産経ネットの)「『スクープもネットに流すウエブ・ファーストに、紙面では情報を効率よく』という設計思想の違いは歴然だ。どちらが読者に親切で、経営的にどちらが有効かは分からない。だが、新聞社のネットへの取り組みは、否応なく第2幕に突入した」、とある。

 ウエブ・ファーストは英国の新聞の多くが導入している形だ。といっても、常にウエーブファーストでなく、ケースバイケースでいつどこに載せるかを決めているようだ。

 産経分析には無料のウエブだけではビジネスモデルとして成り立たないようなことが書かれていたが、英国のウエブサイトはデートクラブや広告など様々な有料サービスを同時掲載しながら、いずれも黒字化していると聞いている。「やれば可能・できる」はずだが・・・。ただ、日本語のウエブと英語のウエブでは読者層の広がりが違うかもしれない。世界的に使われる言語としての英語の強みがあるだろう。それに、販売店を支える人材がある日本ではビジネスモデルが違うのかもしれない。

 今回の朝日・読売・日経の提携で、職を干される人も結構出るのではないか?「コスト削減ができる」と言っているようであるし。そうすると、新聞業界で働く人にとっては、万々歳の話では到底なさそうだ。

 昔、(今はすっかり評判が悪くなった)ホリエモンが「ネットとメディア(放送業界?)の融合」や「ネットで新聞を殺す」(??正確な言葉ではないかもしれない)というようなことを言っていたように記憶しているが、そういう流れになっているなあと思ったりする。

 ・・・それにしても、たくさんお金がありそうな読売・日経・朝日が、ライバル他社と提携するまで追い詰められているとは・・・。驚きだった。「追い詰められている」という印象を持ったのは、もしプロアクティブな提携ならば、新たなポータルサイトの詳細やビジョンがもっと明らかになっているはずなのだから。

 


追記:「英国の新聞のウエブはどこも黒字化している」と書いたけれども、あくまでネット部門にかける費用だけをみた時に、まあまあ広告で回収できている、というようなことであって、考えてみると、紙媒体の方の記者・設備を使っているわけである。・・・とすると、やはりネットだけで全てをカバーするのはたやすくないことになる。
by polimediauk | 2007-10-03 23:34 | 新聞業界