小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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英新聞の古いアーカイブ、インディーの「事実」

 インディペンデントの29日付け、メディア特集(毎週月曜、インディペンデントとガーディアンはメディア特集の小冊子を作っている)で、スティーブン・グラバーという人のコラムを読んでいたら、アーカイブの話とインディペンデントのEUに関する「事実」の話があった。

 少し前に、英国の新聞が古いアーカイブ記事(100年以上前)をネットで読めるようにしている、というグラバー氏のコラムを紹介した。

 http://ukmedia.exblog.jp/7234320/

 その時はガーディアン、オブザーバー、エコノミストの話だったけれども、タイムズも既にやっているのだそうだ。ゲールGALEという会社が数年前からこれを統括していて、1785年から1895年分が読める、と。タイムズはジョン・ウオルターズという人が、「デイリー・ユニバーサル・レジスター」という名前で元々創刊し、1788年から、「タイムズ」という名前になったそうだから、創刊年からのクリップ、ということになる。アイリッシュ・タイムズも同様のサービスを最近始め、デイリー・メイル紙も考慮中、とのことだ。タイムズのサービスは、団体用で、個人向けではない、とのこと。

 もう一つ。10月18日、インディペンデント紙は1面を使って、「EU憲法に関する10の神話」と見出しをつけた記事を出した。3ページ目には、この「10の神話」は実は正しくない、あくまでも神話だ、ということを詳述してあったという。

 ところが、この記事全体が、ある読者が発見したところによると、外務省のブリーフィング文書にそっくりだった、というのである。サイモン・ケルナー編集長の説明・弁解は、「政治記者が集めた事実」とのこと。外務省の文書そのままだった(この点は認めていないようだ)としても、一旦は記者の頭脳を通っているわけだから、問題ないという論理だろうか。

 グラバー氏は、インディペンデント記者が集めた情報が本当にEU憲法に関する「事実」であるかどうかは別にしても(それぞれの新聞には個々に見方があり、「事実」の見方も違う場合があるのを承知の上で)、外務省のブリーフィング文書を利用・使用したものだったら、情報源をそのように記すべき、と主張する。外務省文書を使った・参考にしたこと自体は恥ではないのだから・・・。

 おそらく、同様のことが日本で起きたら(実際に外務省からの書類のほとんどそのまま丸写しの記事を、情報源を出さすに自社記事として出していたとしたら・・)、大きなスキャンダルになるのではないだろうか?

 グラバー氏の暴露記事がインディペンデント紙面に出る、というのはそれ自体、日本の感覚から言うと、驚きだが・・・。

 しかし、今回のグラバー氏のコラムで、もっと気になる記事があった。それは日曜紙の闘いだった。(長くなりそうなので、次回。)
by polimediauk | 2007-10-31 23:16 | 新聞業界