デンマーク総選挙 現首相、3期目+「イスラムが鍵」
(デンマークの国会の建物の階段を転げ落ちる子供たち。国会開会日の習慣と言う。)
デンマーク総選挙の結果が出た。与党自由党と保守党、極右の国民党(閣外協力のみ)は、179議席中、90議席を獲得し、中道右派の第3期目政権が成立することになった。ただし、2005年は94議席だったので、若干減少した。本当にきわどい戦いとなったようだ。総議席数のやっとぎりぎり半分だ。
シリア出身のナッサー・カーダー議員(ムスリム)が作った新党「ニュー・アライアンス(新同盟)」は5議席だが、ラスムセン首相はこの政党から誰かを内閣に入れるかどうか協議に入っている模様だ。もし誰か入れば、反移民政策を緩和することになるのかどうかが注目される。
産経新聞の木村特派員が選挙前夜、分析記事を出している。「イスラムが鍵」と言うので、やっぱり、と思った。ヤフー・ニュースから読めるのだが、以下貼り付ける。
デンマーク総選挙 イスラム社会との距離も争点
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/101111/TrackBack/
【コペンハーゲン=木村正人】デンマークの総選挙の投票が13日始まった。同国では2年前、有力紙がイスラム教預言者ムハンマドの風刺画を掲載、イスラム諸国の激しい抗議行動を巻き起こした。選挙戦はムハンマドの漫画入りポスターを掲げた極右政党や「イスラムと民主主義の共存」を唱える新党などが混戦模様の中、与党と野党の支持率は伯仲、予断を許さない展開だ。投票は即日開票され、同日深夜(日本時間14日午前)に大勢が判明する見込み。
「表現の自由を!」
ムハンマドの漫画をあしらった極右政党「デンマーク国民党」の選挙ポスターにはこう大書きされている。女性のピア・キャースゴー党首(60)は「デンマークの価値を守ろう」と声高に主張している。
風刺画騒動の発端となったユランズ・ポステン紙の元コラムニストで、シリア系デンマーク人のファーミー・アルマジド氏(61)は「イスラム社会は国民党の挑発に乗らなかった。今、この国はイスラム社会をどう扱うか重要な時期に差しかかっている」と語る。
同国では1970年代から外国人労働者が流入し、現在、全人口542万人のうち約20万人がイスラム系だ。イスラム系住民の急増を背景に、デンマーク国民党は移民・難民対策の強化を唱え、98年の選挙で13議席、前回2005年は24議席に躍進した。国民党は、01年からラスムセン首相が党首を務める自由党と保守党の連立による中道右派政権に閣外協力、欧州で最も厳格とされる移民法制定にも一役買った。
今回の選挙では当初、与党側が有利とみられていたが、厳しい移民規制に対する批判の声もあって、直近の世論調査では社会民主党を中心とする野党勢力が与党勢力を激しく追い上げている。
今年5月、国民党の主張に反発するシリア出身の国会議員、ナサ・カダー氏(44)が結成したイスラムとの共存を訴える「新同盟」が、どこまで票を伸ばすのかも注目される。
「世論がどちらに触れるにせよ、デンマーク王国のキングメーカーは今やイスラムになった」。英BBC放送の番組で風刺画騒動を追ったデンマークのテレビ制作会社社長、カーステン・キヤー氏(57)はこう指摘した。〔貼り付け終わり)