マードック氏:「私がサンの政治ラインを決める」
タイムズとサンデータイムズの場合、ニューズ社から独立した編集委員会があって、この委員会が決めるので手足が出ないようだ。
上院通信委員会がマードック氏に聞き取り調査をしたのは9月だ。場所はニューヨーク。
政治的ラインとは、つまり、総選挙でどの政党を支持するか、あるいは欧州政策に関わる論調だ。やっぱり、サンの政治の見方=マードック氏だったのだなあと改めて分かった。
タイムズやサンデータイムズ(の編集陣)に「ああしろ、こうしろ」とは言わないそうだが、「今何やっているの?」とは聞くそうだ。この2紙の編集長をマードック氏は「推薦する」が、編集委員会が最終的に決定する。同じオーストラリア人のロバート・トムソン氏をタイムズの編集長に推した時、編集委員会の意見は「真っ二つに分かれた」が、推薦を拒否はしなかったと言う。
また、衛星放送BSKYB(ニューズ社が株を持つ)のスカイ・ニュースについて、米国のフォックス放送のようになれば、BBCの「正統な選択肢」になれる、と話した。
BBCラジオ4のWorld This Weekend という番組に出た、上院通信委員会の委員長の話の中で、マードック氏のコメントが紹介されたもの。
ふと、日本の新聞と比較して考えてみたのだが、もし大きな違いの1つを挙げるとすると、英新聞は中立であろうとしないことだろうか。それぞれに独自の「ライン」が明確にあって、読むほうも分かっていて読む、という感じ。日本もそうだろうけど、英国はもっときつい感じ。
ただし、(繰り返しになって恐縮だけれど)放送業界は公正さ、客観性、などを維持するように法律で義務付けられている。公共放送はすべてそうである。衛星放送は例外だが、ニュース報道に関しては、スカイニュースも公共放送に要求される水準を持つことが期待されている。新聞にはこういう法律の「義務付け」がない。