小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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マードック氏:「私がサンの政治ラインを決める」

 ニューズ社の会長ルパート・マードック氏が、英上院の通信委員会から質問を受け、自社が所有する新聞の中で、大衆紙サンと日曜大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドの政治ラインは自分が決めるが、高級紙タイムズとサンデー・タイムズに関しては、自分では決めない、と答えた。BBCサイトに出ていた。http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/7110532.stm

 タイムズとサンデータイムズの場合、ニューズ社から独立した編集委員会があって、この委員会が決めるので手足が出ないようだ。

 上院通信委員会がマードック氏に聞き取り調査をしたのは9月だ。場所はニューヨーク。

 政治的ラインとは、つまり、総選挙でどの政党を支持するか、あるいは欧州政策に関わる論調だ。やっぱり、サンの政治の見方=マードック氏だったのだなあと改めて分かった。

 タイムズやサンデータイムズ(の編集陣)に「ああしろ、こうしろ」とは言わないそうだが、「今何やっているの?」とは聞くそうだ。この2紙の編集長をマードック氏は「推薦する」が、編集委員会が最終的に決定する。同じオーストラリア人のロバート・トムソン氏をタイムズの編集長に推した時、編集委員会の意見は「真っ二つに分かれた」が、推薦を拒否はしなかったと言う。

 また、衛星放送BSKYB(ニューズ社が株を持つ)のスカイ・ニュースについて、米国のフォックス放送のようになれば、BBCの「正統な選択肢」になれる、と話した。

 BBCラジオ4のWorld This Weekend という番組に出た、上院通信委員会の委員長の話の中で、マードック氏のコメントが紹介されたもの。

 ふと、日本の新聞と比較して考えてみたのだが、もし大きな違いの1つを挙げるとすると、英新聞は中立であろうとしないことだろうか。それぞれに独自の「ライン」が明確にあって、読むほうも分かっていて読む、という感じ。日本もそうだろうけど、英国はもっときつい感じ。

 ただし、(繰り返しになって恐縮だけれど)放送業界は公正さ、客観性、などを維持するように法律で義務付けられている。公共放送はすべてそうである。衛星放送は例外だが、ニュース報道に関しては、スカイニュースも公共放送に要求される水準を持つことが期待されている。新聞にはこういう法律の「義務付け」がない。
by polimediauk | 2007-11-25 06:21 | 新聞業界