小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


by polimediauk
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

英日曜紙の将来は?

 日曜紙の将来が気になり、平日版との融合の動きを、新聞協会報12月4日付けに書き、これにやや補足したものが以下である。

 私は仕事柄、日曜高級紙を全て買っているが、興味のない分野の小冊子を抜いていくと、ずい分、紙のゴミがたまってしまう。もったいないなあとは思うのだが・・・。かくして、月曜日、他の紙のゴミも合わせて、大きなリサイクル場所に棄てに行くのがパターンとなっている。

           ***

英日曜紙、平日版と融合進む
土日の生活スタイル変化
24時間編集体制に組み込まれ



 英テレグラフ・メディア・グループは11月中旬、日刊紙・日曜紙・ニュースサイトの経済部門を、写真部門に続き統合した。ガーディアン・メディア・グループも、日刊紙ガーディアンと日曜紙オブザーバーのサイト上での融合を加速させるとしている。土曜付けの新聞の日曜紙化に加え、日刊紙が24時報道体制の確立とサイト強化に向けた動きを進める中、日刊紙と独立した編集体制を誇ってきた日曜紙は岐路に立っている。

 英紙は発行日の違いから、月曜から土曜まで発行される日刊紙(平日版)と、日曜紙とに分かれる。キリスト教の教えの影響で日曜は長年「特別な日」と考えられ、両紙はそれぞれ別個に発展してきた。発行元は同じ場合でも、編集長や編集スタッフは日刊紙とは別に持つ。

 4大日刊高級紙デーリー・テレグラフ、タイムズ、ガーディアン、インディペンデントの系列日曜紙はサンデー・テレグラフ、サンデー・タイムズ、オブザーバー、インディペンデント・オン・サンデーとなる。

 その週を振り返る解説記事や読み物的記事に加え、テレビ・ラジオの番組予定の小冊子、数々の特集の小冊子、映画のDVDなど、かなり分厚く読み応えのある日曜紙だけを購入する人も多く、日曜紙の発行部数の順位は系列日刊紙の順位とは異なる。例えば、デイリー・テレグラフの発行部数は約88万部(10月、英ABC)で4大高級紙の中では首位だが、系列日曜紙の中では、サンデー・タイムズが約127万部(同月)でサンデー・テレグラフの約65万部を大きく引き離す。

 しかし日刊の高級紙は近年、グループの日曜紙に対し、連日の編集協力を求めるようになっている。24時間の報道体制を確立し、サイトで収益を上げようという経済的な理由が背景にある。編集体制の融合は日曜紙独自の編集方針を脅かす恐れがあるとして9月以降、懸念を抱いた日曜紙編集長が辞任したり(サンデー・テレグラフ)、辞任表明(オブザーバー)したりすることが相次いだ。

 テレグラフ社は11月16日、日刊紙、日曜紙、ウエブの経済部門を統合した。これに先立ち、写真部門も一体化している。2紙の編集部門の融合はこれからも進む見込み。ガーディアン社も、来年の本社移転を機に、ガーディアン紙とオブザーバー紙の間でネット向け編集作業をさらに加速させる予定だ。

 「日曜紙は時間をかけた調査・分析や、スクープ発掘を主眼とする。速報が重視される日刊紙のジャーナリズムとは必ずしも一致しない。日刊紙と融合すれば、独自性が薄れてしまう」。と新聞やテレビ局などの編集長らで構成する「ソサエティー・オブ・エディターズ」のボブ・サッチェル代表はこう指摘する。

 同氏は、日刊紙との融合の圧力に、24時間報道体制・デジタル化とともに、土曜付け新聞の変ぼうを挙げた。日曜日は今や「特別の日」ではないと言う。「土曜日、人々は休息を取り自宅でじっくり新聞を読み、日曜日は買い物などに出かけるようになった」。

 かつては日曜紙が独占していた翌週のテレビ・ラジオの小冊子や、フィーチャー記事を土曜日付けの新聞が掲載し、大きく販売部数を伸ばしている。「日曜紙の存在価値そのものが問われている」とサッチェル氏は話す。

 ニュースの発信を常時求められるネットでの報道がますます重視される中、発行頻度が週に一度で、独自のサイトを持たない日曜紙がグループ内の日刊紙から同化への圧力を受けるのは避けられない事態と言えるようだ。

 それでも新聞によって生き残りの程度は変化するかもしれない。日曜紙の編集を最終的に統括するタイムズの編集長は日曜紙の独自の個性を維持すると宣言しており、大衆日曜紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドの系列日刊紙となるサンは「2紙の融合はない」としている。(プレスガゼット紙電子版11月23日付け)。
by polimediauk | 2007-12-05 07:33