ライブドアーこんなにも違う評価
「屈するわけには断じていかない」
(「英国メディア・ウオッチ」としながら、日本のメディアの動きから目が離せなくなっている・・。)
ライブドア及び堀江社長の動きに関して、日本ではバッシングが段々強くなっているように感じられる。
22日付の毎日新聞に、全く違う評価が2つ載っている。
1つは編集局の方のコメントで、ジャーナリストの江川紹子さんのインタビューに応えて「新聞とかテレビを我々は殺していく」と堀江社長が語った部分に、遺憾の念を表明している。
すでに日本の既存マスコミにいる人であれば、怒りを感じるのも無理はない。おそらく、真剣にやってきた人ほど、頭にくるだろう。最後まで読むと、言葉がかなりきつい。2,3度読んでみて、怖いほどの怒りを感じた。
ところが一方、同じウエブサイトで、インテリジェンスという会社が、転職サービスとタイアップした記事のようだが、ライブドアの事業の明るい未来図を書いている。
何故ライブドアが放送事業に進出したいのかを分析し、「テレビでもブロードバンド経由でも同じ番組を見られる」ようになったとき、「番組がポータルサイトになる」。「これならCMを使わずに広告収入を得ることができる上、金脈といって差し支えないほどの潜在的な利権がある。これが借金をしてまでもライブドアが放送事業に参入したい本当の理由」としている。
ライブドアの堀江社長の発言云々ではなく、「将来、何をやろうとしているのか?」に注目している。
推測だが、最初の記事を書いた方よりは、年齢が若い人が書いたのではないか?何の根拠もないが、どことなく、世代間の感覚の違いを感じる。「偏見」といわれそうだが、同じ日本に生きながら、「全く違う空気」、気配、を2人の記者の背後に感じる。
以下、貼り付けします。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050221k0000m070113000c.html
発信箱:
風雲児の新聞観について 山田孝男(編集局)
ライブドアの社長をめぐる騒動は4年前の田中真紀子旋風を思い出させる。既成秩序の破壊を待望する側から見れば痛快な革命家であり、その人物を疑う側から見れば破壊をもてあそぶ悪魔である。野球と株に疎く、今までぼんやり眺めてきた私だが、彼が新聞を語りだしたことで見えてきたものがある。メディア業界の旧弊を突く彼の批判は鋭いが、自己膨張以外に行動規範がなく、適法なら何でもやるという彼の流儀に屈するわけには断じていかないということである。
彼はジャーナリストの江川紹子さんのインタビューに応えて「新聞とかテレビを我々は殺していく」と語っている。彼によれば、新聞の編集は本質的に無意味な作業である。ニュース判断も解説も「報道の使命とか言っちゃったりする大マスコミの自意識過剰の押しつけ」に過ぎない。良い記事とはインターネットのアクセス数が多い記事であり、テレビの視聴率至上主義をさらに徹底したところに理想があるというわけだ。
新聞はしばしば独善に陥るが、だから記者が公益を探る営みは無意味だというような極論を受けいれるわけにはいかない。今と同じように価値観の大転換期だった敗戦直後、ヤミ金融「光クラブ」を起業し、経営破たんで自殺(1949年)した東大生、山崎晃嗣(あきつぐ)の語録にこんな一節がある。「私は法律は守るが、モラル、正義の実在は否定している。合法と非合法のスレスレの線を辿(たど)ってゆき、合法の極限をきわめたい」(保阪正康「真説・光クラブ事件」角川書店)。報道の使命をわらう風雲児の言説に通じる趣がある。(編集局)
http://tenshoku.inte.co.jp/msn/news/0188.html
通信+放送で生まれる未来のテレビ
ライブドアによるニッポン放送の株式買収には驚かされた。投資なのか投機なのか、堀江社長は借金をして株を買ったという。
ライブドアはなぜ放送事業に参入したいのか?
なぜライブドアはニッポン放送株を買ったか? 堀江社長は通信と放送の可能性についてコメントしている。わかりやすい例として挙げたのが放送局のWebサイトだ。放送局のWebサイトは非常に高いアクセス数を持つが、番組の紹介に留まっていると堀江氏。対してYahoo!やmsnなどの大型サイトではニュースや天気予報などさまざまな情報を提供している。ライブドアと提携することで、放送局のサイトをポータル化し、ビジネスチャンスを広げることができる、というのが堀江氏の意見だ。
またHDDレコーダーの普及で録画が当たり前になると、視聴者はCMを飛ばして見るようになる。そのため、いずれCMに頼ったテレビ局のビジネスモデルは成り立たなくなる。だからライブドアのようなIT企業のビジネスモデルを導入することで、放送局も新しいビジネスモデルを構築できると主張する。
だから放送事業へ参入するというのだが、理由はそれだけなのか?
ブロードバンドの普及はIT業界に新たなチャンスを生み出そうとしている。ブロードバンド経由での動画配信は日常化しつつあり、5.1chハイビジョン放送のストリーミング配信に必要な回線速度は6Mbpsといわれている。光ファイバ通信は最大100Mbps、実測値でも20Mbpsは超えており、動画配信に限ればオーバースペックだ。
つまりテレビでもブロードバンド経由でも同じ番組を見られるようになっているわけだ。CMを打つ企業にとってはテレビとラジオに加え、新しい媒体が登場したことになる。そしてこの新しい媒体はCMを必要としない。
通信の強みは放送と違って1対1でデータをやり取りできることにある。たとえばドラマを見ていて、登場人物の着ている服を欲しいと思ったとしよう。テレビ放送の場合、視聴者はあとで雑誌で情報を調べ、店まで買いに行くしかないが、そこまでして買う人は稀だ。しかし通信ならどうだろう? 番組を見ながら、ナビゲーションバーをクリックすれば服のメーカーのサイトや楽天のような通販サイトに直結する。クレジットカード登録が済んでいれば、番組中に商品を購入できてしまう。
番組がポータルサイトになるのだ。これならCMを使わずに広告収入を得ることができる上、金脈といって差し支えないほどの潜在的な利権がある。これが借金をしてまでもライブドアが放送事業に参入したい本当の理由ではないだろうか。
通信と放送の融合で生まれる新しい使い方
通信と放送の融合は視聴する側に今までのテレビの常識を超えた、ユニークな使い方を可能にする。
ロケーションフリーテレビ 「LF-X5」はソニーが発売するエアボードシリーズの最新機種。持ち運びできる7インチ液晶モニタ(サイズはA5判)と「ベースステーション」と名づけられた専用サーバから成り、モニタは有線・無線LANと接続、インターネット経由でベースステーションに接続する。ベースステーションにはテレビやDVDを接続しておく。
モニタにはインターフェース機能しかなく、単体ではテレビは映らない(ただしインターネットに接続、Webサイトや電子メールの利用はできる)。ではどうするのかいうと、有線・無線LANでインターネットに接続、ベースステーションにアクセスする。ベースステーションは接続したテレビやDVDの出力データをパケットに変換、インターネット経由でモニタへと配信する。
LF-X5はインターネットに接続できれば視聴環境を問わない。海外からベースステーションにアクセスすれば日本のテレビ番組を見ることができるし、ホットスポットであれば外からでも大丈夫。ベースステーションに接続された機器はモニタ上からリモコン感覚で操作可能だ。
パソコンとテレビの中間的な機器で、同様のコンセプトのデジタル機器には他にマイクロソフトのタブレットPCがある。
今後のテレビを考える上で、どこでも自由に見ることができるというのは非常に大きなテーマだ。放送側でも、地上波デジタル放送のモバイル仕様である「モバHO!」を昨年10月から放送をスタートしており、携帯電話での受信など新しい可能性が考えられる。
放送で見るか? 通信で見るか? NHK東京テレビジョンが開局したのは1953年。それから50年が過ぎ、今、テレビは大きな岐路を迎えようとしている。