小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

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トルコ、スカーフ問題のQ&A

 トルコのスカーフ着用禁止の解除の件で、英字紙「ターキッシュ・デイリー・ニューズ」に一問一答が載っていた。以下は抜粋である。

―スカーフが問題になったのはいつか?

 トルコ共和国建国(1923年)時にまでさかのぼる。1925年、トルコの建国の父アタテュルクが「帽子法」を発効させた。男性に対し、イスラム教の帽子(フェズ=トルコ帽がその一例)の着用を禁止し、代わりに山高帽を推奨した。「近代化の象徴」だった。女性の場合は法律では禁止されなかった。80年代、地方の保守的な家庭出身の女性たちが大学に入るようになった。これ以前は大学に行くのは都市部のエリート層だった。1989年の法律で、大学キャンパスでのスカーフ着用が正式に承諾されたが、同年、憲法裁判所がこの法律を違法とした。トルコ憲法の原理である世俗主義をおかすことになるから、というのがその理由だ。これが未だに着用禁止の法的根拠になっている。

-与党公正発展党は何故今になって解禁を持ち出したのか?

 与党は常に禁止を解除したがっていたが、一期目(2002年から07年)はそうしなかった。自分たちが「イスラム教の政党」ではないことを証明しようとしていたし、世俗主義勢力からの反発を懸念したからだ。昨年7月の総選挙で47%の得票を得て、自信を得た。

―どこで着用が禁止なのか?

 公立、私立を問わず、大学、高等教育機関での着用だ。

―何故憲法改正が必要なのか?

 着用禁止は憲法裁判所の決定が基礎になっているため、スカーフ着用を認可する法律を成立させようとしても、同じ裁判所がまた却下する可能性がある。そこで、スカーフ着用の学生が大学での教育を除外されないよう、憲法に付帯条件をつけるなどが考慮されている。

―今後どんな動きがあるか?

 憲法裁判所は付帯条項さえも認めないだろうと予測する人もいる。世俗主義という「変更できない」憲法の原則を変えることになるからだ。上級裁判所の別の支部「国家委員会」(ステート・カウンシル)のトップが、最近、世俗主義をもてあそぶのは政党の解党理由になる、と述べている。与党にとっては警告だ。世俗主義信奉派団体がデモを起こす可能性もある。

・・・感想だが、「なかなか大変だなあ、変えるのも」という感じがする。国内が大きく2手に分かれてしまうのだ。(サイレント・マジョリティーも多いだろうけれど。)

参考:

http://www.turkishdailynews.com.tr/article.php?enewsid=95065

過去記事:

http://ukmedia.exblog.jp/8108284/

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http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200801302316583

大学教授インタビュー
http://ukmedia.exblog.jp/6841637/
by polimediauk | 2008-01-30 23:39 | トルコ